文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

前半は互角の展開、勝負は後半に

島根スサノオマジックvsアルバルク東京の第2戦。互いに守備に良さが出てロースコアの展開となるが、勝負どころの爆発力が際立ったA東京が島根に連勝した。

序盤は互いの強みを生かしながら互角の展開に。渡邊翔太の強気なアタックもあり島根が18-17と先手を取った。

昨日の第1戦で6-22と大差をつけられた鬼門の第2クォーター、オフェンスリバウンドから田中大貴に3ポイントシュートを決められ嫌なムードが流れるも、後藤翔平がハリーバックからリバウンドを死守したり、オフェンスリバウンドに絡んでスティールから得点を挙げるなど流れを渡さない。ジョシュ・スコットが7得点を挙げインサイドで奮闘し、32-33と接戦を維持した。

主導権を握っているようで点差を広げられないA東京にとっては嫌な展開。そんな状況、第3クォーター残り4分31秒に田中大貴が足を負傷して交代。結局、そのままコートに戻って来ることはなかった。

勝負どころで島根のディフェンスが崩壊

そんな不穏なムードを打ち消したのが、田中に代わって入った馬場だった。すぐさま1on1からダンクシュートを叩き込み、チームを勢いに乗せる。アレックス・カークがロングレンジから高確率で得点を奪い、50-42とリードを広げて最終クォーターへ。その立ち上がりに安藤誓哉のミドルシュートで点差を2桁に広げると、島根は集中力を失っていく。

それまでの島根はA東京の守備に苦しみながらも、時間をかけてシュートセレクションの良いオフェンスを実行して接戦を演じていた。ところが最終クォーターの勝負どころで状況判断の質が落ると、得点が伸びないだけでなくトランジションから走られる悪循環に陥った。

そこからはA東京のワンサイドゲームに。速攻から馬場にバスケット・カウントを決められるなど2分半で0-12と走られ、点差は20の大台に。そのままディフェンスを立て直すことができず最終クォーターだけで36失点を喫し、最後は61-86と大差を付けられ連敗となった。

プレッシャーに屈した島根は5連敗

A東京のヘッドコーチ、ルカ・パヴィチェヴィッチは「非常にタフなゲームでした。後半のハードでタフなディフェンスで点差が離れたと思います。島根さんはボールを動かして良い形で得点を取ってきたので、オフェンスリバウンドを意識して、ディフェンスリバウンドからトランジションで速攻を出そうという話をしました」とディフェンスからペースをつかんだ試合を振り返った。

14得点を挙げた馬場は「出だしは重かったですが、後半は走ろうと決めてそれが出たのが良かったと思います」と勝因を語り、「エースの大貴さんが抜けてしまって、ここで気を引き締めないと相手に飲まれると思ったので、ここから始まるという勢いでプレーしました」と自身の好パフォーマンスについて語った。

最終クォーターに集中力が切れて、攻守ともに崩壊した島根。我慢のバスケで接戦に持ち込むのはいいが、粘り強いプレーを40分間継続させるとともに、強豪相手に競るだけでなく上回る『武器』を確立することが求められる。この試合ではスコットが16得点、ギャレット・スタツが14得点とインサイド陣が奮闘した。だが3ポイントシュートではA東京の12本中7本の成功(58.3%)に対し、島根は5本中1本(20%)と試投数、成功率ともに低調でA東京守備陣のプレッシャーに屈した形となった。

A東京はこれで12勝1敗とリーグ勝率トップを維持。代表選手を多く抱えるだけにコンディション管理や起用法は難しいはずだが、しっかりと勝ち切っている。