あと一歩届かなかった天皇杯の栄光、誰よりも身体を酷使してきた川崎ブレイブサンダースの長谷川技の『男泣き』
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あと一歩届かなかった天皇杯の栄光、誰よりも身体を酷使してきた川崎ブレイブサンダースの長谷川技の『男泣き』

2020/01/13

長谷川技

8人ローテーションも万全なSR渋谷と大接戦

令和初の天皇杯は川崎ブレイブサンダースを78-73で下したサンロッカーズ渋谷が、5年ぶり2度目の栄冠を勝ち取り幕を閉じた。

川崎の長谷川技が「勝つチャンスは何回かあったとは思う」と話したように、試合は最後までどちらに勝敗が転ぶか分からない接戦となった。そして、ティップしたボールの行方や1つのファウルなど、1ポゼッションごとすべての攻防が勝敗を左右したと長谷川は言う。

「リバウンドだったり、フリースローを決めきるとか、ファウルだったり。そういう本当にちょっとしたところを自分たちのものにできるか。そこが反省点」

川崎は昨年のリーグ戦で篠山竜青とマティアス・カルファニがケガで戦線を離脱。追い打ちをかけるように鎌田裕也と、アルバルク東京との準々決勝で勝利の立役者となった藤井祐眞までもがインフルエンザにかかる不運に見舞われた。

SR渋谷は徹底したタイムシェアにより、常にフレッシュな状態で川崎にプレッシャーをかけ続けた。川崎も同様の戦術を理想としているが、12人すべての選手がコートに立ったSR渋谷に対し、8人でのローテーションを強いられた。

それでも長谷川が「キツいのはキツいですけど、自分たちのやりたいバスケットはディフェンスからハードにやることなので続けました。本当にダメだったらコーチも交代してくれるので、常にフルスロットルでやりました」と言うように、マンパワーの差が一目瞭然な中で接戦を演出した。

長谷川技

ファジーカス、ヒースに次ぐプレータイム

主力を立て続けに失う状況が辻直人の覚醒を呼び、ジョーダン・ヒースやニック・ファジーカスの活躍もあり川崎は決勝進出を果たしたが、スタッツに表れない陰の殊勲者は長谷川だったと言える。

エースキラーとして、常に相手エースとマッチアップし続け、さらには外国籍選手とスイッチしても当たり負けしない強靭な身体でディスアドバンテージを生まなかった。4日間で3試合、このタフな日程の中でヒースとファジーカスに次ぎ、最も長い時間コートに立ち続けたことがそれを証明している。

決勝では後半に入って足首を痛めたが、ベンチで最小限のケアだけ受けてコートに戻った。本来ならこの時点でプレーを続けられる状態ではなかったはずだが、コートに戻る時は足を引きずっていても、プレー再開とともに何事もなかったかのように走り始め、最後まで戦い続けた。

それでも長谷川は6本放ったすべての3ポイントシュートを成功させることができず「そこが入っていれば、もっと楽な試合展開になったんじゃないかなとは思います」と自分を責めた。

長谷川技

涙をこらえきれないほどの悔しさ

外から見ている人間としては、フルメンバーではない中での健闘を称える試合に思える。それでも、周りが思う以上に長谷川の優勝への思いは強く、言葉を詰まらせながら悔しさをにじませた。

「悔しいですね。このメンバーでしたけど、選手はみんな120%を出して……アグレッシブにプレーしていたので……。結果としてしっかり受け止めたい」

普段あまり表情を表に出さず、寡黙にプレーする長谷川が悔し涙をこらえきれない。長い沈黙の後、長谷川は最後にこう言葉を絞りだした。

「リーグ戦ではしっかり僕たちが勝てるように。また一からやり直したいと思います」

川崎は現在24勝4敗でリーグ首位を走っている。所属する中地区に目を向ければ、2位のシーホース三河とは13ゲーム差を離す独走状態だ。目指すべきバスケットを体現できているからこそ、このような好成績を挙げられ、天皇杯でも準優勝できたはず。

それでも「一からやり直したい」という長谷川の言葉からは、現状に甘んじることなく、貪欲に頂点を目指す向上心が伝わってくる。この1敗が川崎をさらに強くする起爆剤となるのかもしれない。

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