『相手の得意なプレーを消す』戦術を完璧に遂行
クリスマスゲームのウォリアーズvsロケッツは、事前の予想に反して西カンファレンス最下位のウォリアーズが116-104で勝利した。ステフィン・カリーやクレイ・トンプソンを欠き、今シーズンはすでにプレーオフ進出をあきらめたようにも見えるウォリアーズが、リーグで最も好調なロケッツに勝てた理由は何だったのか。
そのカギは、ジェームズ・ハーデンとラッセル・ウエストブルックに対する守備だった。
まず、ハーデンに対してはボールを持たせないことを徹底、特にフリースローを与えないようにした。ハーデンはファウルをもらう天才で、1試合平均12.8本のフリースローを獲得している。しかし、この試合でのハーデンは1度しかフリースローラインに立てなかった。
ウォリアーズの指揮官、スティーブ・カーは言う。「全チームがジェームズ対策を考えざるを得なくなった。特にピック&ロールのディフェンスをね」
ハーデンのドライブ、そしてステップバックからの3ポイントシュートを封じるために、オールコートでダブルチームを徹底した。マッチアップするグレン・ロビンソンはボールを持たせない守備をするが、ボールを持たれたらもう一人が寄せてパスを出させる。
当然、他の選手がオープンになるのだが、ハーデンにシュートを打たれるよりも他の選手にオープンで打たせた方がマシ、という割り切りが必要になる。実際、ロケッツでは他の選手がシュートを打っていたのだが、ハーデンが攻めないのでは自分たちのリズムにならないため、シュート成功率は上がってこなかった。
もう一人の得点源であるラッセル・ウエストブルックは、爆発力はあるが好不調の波があり、ドラブレイアップは強力だがジャンプシュートは決して得意ではない。そこでウォリアーズは、ウェストブルックにはドライブだけをケアし、ミドルレンジからのシュートはわざとチェックに行かなかった。
ウェストブルックは早打ちの傾向が強く、打てると判断すれば打ってしまうタイプ。こうしてウェストブルックは最初の6分間で9本のシュートを放ったが、成功はわずか2本のみ。最終的には30得点したが、32本中11本とシュートの成功率は低く、3ポイントシュートは8本すべを外した。ウォリアーズの目論見通り、これでロケッツのオフェンスにはリズムが生まれなかった。
ドレイモンド・グリーンはこの作戦を考えた守備コーディネーターのジャロン・コリンズに最大限の賛辞を送った。「この勝利は彼のおかげだよ。彼のゲームプランは最高だった」
D-Lo vs. Harden and Steph loves it on the bench ? pic.twitter.com/N6RvKlMl3Z
— SportsCenter (@SportsCenter) December 25, 2019