京都の疲れを見逃さず3ポイントシュートで突き放す
12月21日、琉球ゴールデンキングスがホームで京都ハンナリーズと対戦。12月に入り体調不良で欠場していた佐々宜央ヘッドコーチが今週の頭になって退任。代行で指揮を取っていた藤田弘輝アシスタントコーチが、ヘッドコーチに昇格して最初の試合を後半のオフェンス爆発で99-78と快勝した。
試合は前半、京都がデイビッド・サイモン、ジュリアン・マブンガの2大エースを軸に加点。特にサイモンは、琉球がゾーンディフェンスを引いて厳しくマークを続ける中でも得意のジャンプシュートを次々と沈め、前半だけでフィールドゴール12本中10本成功の23得点と圧巻のパフォーマンスを見せる。
琉球もジャック・クーリーがオフェンスリバウンドからのセカンドチャンスで決めるなどくらいつく。しかしサイモンの大暴れによって京都のペースで進み、第2クォーター残り1分半にはリードを12点差にまで広げる。だが、ここから琉球は長谷川智伸の3ポイントシュート、並里成のゴール下へのドライブによるバスケット・カウントで加点。41-47と一気に縮めて前半を終える。
この前半最後の流れをキープしたい琉球だったが、第3クォーター開始30秒でいきなりファウル3つとつまずく。しかし、ここで崩れずに踏ん張ると、途中から得意とするトランジションが徐々に出はじめ、67-67の同点でこのクォーターを終える。
第4クォーター、京都の守備のプレッシャーが弱ってきたところを琉球は見逃さず。岸本、福田真生の連続3ポイントシュートによって開始3分で77-67と突き放して流れを完全につかむ。こうなるとガス欠の京都は琉球の勢いを止めることができない。このクォーターで32-11と圧倒した琉球が最後は大差をつけた。
「ウチはハードにプレーをし続けるチーム」
琉球の藤田ヘッドコーチは勝因をこう語る。「タフな時間がたくさん続いた試合でしたが、今日のテーマはポジティブにチームとして40分間戦う。それを選手たちがしっかり遂行し、ハドルでお互いに励ましあった結果、キングスに流れがきました」
ポジティブをテーマとして強調したのは、「京都さんと試合する時の大事な要素。苦しい時に審判と戦ってそこで冷静さを失ってはいけない。それを強調しました」との理由からだ。藤田ヘッドコーチが言及するように京都はマブンガ、サイモンを筆頭にファウルをもらうのがうまい選手が多い。そこでフラストレーションをためてリズムを崩すと相手の術中にはまってしまう。
しかしこの試合の琉球は、第3クォーターの序盤などファウルがかさんだ時も耐えた。その結果、「ウチはハードにプレーをし続けるチームなので、試合中にキングスの流れは絶対に来る。それが来るまで我慢する。それを選手たちに言い続けていきたいです」と指揮官の予想通りの展開となり、第4クォーターの爆発につながった。
この試合で12得点、9アシストの並里は、31失点に抑えた後半のディフェンスについて「サイモン選手のシュートが当たっていたので、もう一歩詰めようとみんなで確認しました。そこが後半はできたのかと思います」と振り返る。
そして、自身の活躍についてこう語っている。「ディフェンスからの速い展開は、僕が中心となるバスケと思っていたので、積極的に自分でボールをプッシュしました。僕が得点を取れているのは、チームメイトが何かしら絡んでくれているから。そこに感謝しながら、もっと攻撃を遂行していきたい」
「いいものはたくさんあるので残していきます」
そして試合後に行われた就任会見で、藤田ヘッドコーチはこのように意気込みを語る。「選手たち、スタッフ、球団の方たちに支えてもらいながら、チーム一丸となって沖縄の人たちの気持ちを背負って戦っていきたい。結果を気にしすぎると良くないプレッシャーがかかります。まず、自分の100%の力を出す。チームとしてのクォリティ、プレーの質を上げることに集中していきたいです」
もちろんチームの基盤はここまで積み上げてきたものだが、その上で指揮官ならではの色を加えるとすれば、どこになるのか。そのキーワードは全員で攻めることだ。
「いいものはたくさんあるので残していきます。その中で、あえて自分の色を出すのであれば、チームとしてより全員で攻めるオフェンスをやっていく。今日は前半、少し重くなりましたが、後半は15アシスト。全員でボールを回しながらプレーメーカーが仕掛けて相手が寄ったところでキックアウトして、オープンシュートを作ったり、フィニッシュする。そうやって全員で攻める意識を作っていくことです」
そして琉球の現状を「今日のようにハードにプレーしたらどこにでも勝てる。ただ、それができなかったらどこにでも負けます。まずは40分間集中できるチームをプレーオフまでに作ることです」と藤田は見ている。
2007-08シーズンのbjリーグ参入以来、シーズン途中での指揮官交代は琉球の歴史において初めてのこと。この荒波をどのように乗り越えていくのか。ここから33歳の若き指揮官の手腕に注目が集まる。
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