第3クォーターに訪れた勝負の分かれ目
NBAファイナルは3勝1敗とウォリアーズが王手をかけ、第5戦を迎えた。
その前日、第4戦でフレグラントファウル(行き過ぎた激しいファウル)により、ウォリアーズのドレイモンド・グリーンの出場停止が決定。これにより、ウォリアーズは守備の要と高さを失うこととなった。窮地に追い込まれたキャバリアーズは、このアドバンテージを生かし、ウォリアーズに襲い掛かった。
序盤は両チームとも、それぞれの持ち味を生かし一進一退の攻防を繰り広げる。キャバリアーズのカイリー・アービング、レブロン・ジェームズが高確率でシュートを決め、トリスタン・トンプソンがリバウンド争いで力を発揮する。対するウォリアーズも、アンドレイ・イグダーラがスタートから攻守に存在感を見せ、スプラッシュブラザーズが次々と得点を重ねる。
前半は61-61と全く互角の展開で終了し、どちらに勝負が転ぶか分からない好勝負となった。しかし、第3クォーター開始早々に、ウォリアーズにアクシデントが起こる。
ブロックに飛んだセンターのアンドリュー・ボーガットが着地の際に左ひざを痛め、負傷退場となったのだ。ウォリアーズはグリーンに続いてセンタープレイヤーを欠くことに。キャバリアーズはこの好機を逃さなかった。
手薄となったゴール下を攻め、レブロンがダンクをお見舞いする。途中出場のリチャード・ジェファーソンもゴール付近へのドライブから得点を重ねる。それにより中を守らざるを得なくなった相手に対し、アービングが3ポイントシュートを沈める。
ウォリアーズはリバウンダーがいなくなったことにより、思い切りのいいシュートが打てなくなり、シュートの精度が低下。シュートファウルによるフリースローを沈めて食らい付くが、徐々に点差が離れていく。
高さの利を生かしたキャバリアーズが試合巧者ぶりを発揮
キャバリアーズにいいリズムでオフェンスをさせない為に、フリースローの不得手なトンプソンにファウルをしてわざとフリースローを打たせる作戦を敢行してきたウォリアーズ。その作戦は効果があったが、流れを変えるまでの影響はなく、高さの利を生かしたキャバリアーズは93-84と9点をリードして最終クォーターを迎えた。
一刻も早く点差を縮めたいウォリアーズは、スプラッシュブラザーズを中心に得点を重ねる。しかし、キャバリアーズもアービングがタフショットを何度も沈め、リードを保ち続ける。焦りが見え始めたウォリアーズは3ポイントシュートを多用し点差を縮めようとするが、大事な場面でこれを決めることができない。キャバリアーズはそのリバウンドを確実に拾い、レブロンが1対1を仕掛け残り時間を消費しながら点差を広げていく。
残り3分21のところでレブロンのバスケット・カウントが決まり、112-96としたところで勝負あり。その後、両チームとも先発メンバーをベンチに下げ、112-97のスコアで第5戦の幕を下ろした。
キャバリアーズはレブロンとアービングがともに41得点を挙げる大爆発。同じチームから40得点以上挙げる選手が2人出るというのは、NBAファイナル史上初の出来事であった。トンプソンもオフェンスリバウンド3本を含む15リバウンドで存在感を示した。
ウォリアーズはスプラッシュブラザーズの2人で62得点を挙げる活躍を見せるも、後半の大事な場面でのシュートを決められず、得点以上のインパクトは与えられなかった。また、グリーンとボーガットという強力なリバウンダーがいなかったということが、皆のシュートタッチをわずかながら狂わせていた。
崖っぷちの状況に変わりはないが、これで対戦成績を2勝3敗とし望みを繋いだキャバリアーズ。1勝3敗から逆転で優勝を果たした例が過去に一例もないNBAファイナル。今日の40ポイントコンビのように、史上初の逆転優勝で歴史に新たな1ページを記せるであろうか。ファイナルは佳境を迎える。