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「犠牲者をリスペクトするのなら変化を」

10月1日、ラスベガスで男がミュージックフェスティバルの観客を無差別に狙って銃を乱射し、多くの死傷者を出す事件が起きた。プレシーズンゲームのため中国を訪問しているウォリアーズのヘッドコーチ、スティーブ・カーは現地での会見でこれに言及し、自身の考えを語った。

カーが銃犯罪、銃規制に対して意見を述べたのは今回が初めてではない。中東を専門とした研究者の父親マルコム・カーの仕事の関係で、レバノンのベイルートで生まれたカーは、大学生の時にイスラム過激派に父親を殺害されている。理不尽な暴力により肉親を失った者として、カーは以前から様々な発言をしている。そして今回も、悲劇からアメリカ国内に変化が起こることを願っていると語った。

「犠牲者に追悼の祈りを捧げるだけではなく、それ以上の行動に繋がることを望んでいる。我々はもう30年以上も、ただ祈りを捧げてきただけだ。銃犯罪が起きても、銃規制という政治問題に発展させるなという意見を聞くが、もし犠牲者にリスペクトの念を捧げるのなら、コロンバインでの事件、サンディフックでの事件、オーロラでの事件が起こったこの20年、いや30年で何かができたはずだ」

またカーは、銃規制を阻む声に対し、次のように続けた。「我々の国では、毎週のように銃乱射事件が発生している。市民を尊重するのなら、何かしらの議論が起こっていたはずだ。『今はその時期ではない』という人たちに聞きたい。ではいつなら『その時期』なんだ?」

「銃規制は市民を守るための常識、良識だ。この話題に党派は関係ない。民主党も共和党も、自由主義も保守主義もない。市民を守るための良識でしかないのに、それが実現できないことが理解できない」

ドナルド・トランプ大統領の支持母体の一つである全米ライフル協会は、今回の事件の犯人が使用したフルオート射撃を可能にする装置の規制を検討すると発表したが、その声明自体が抜本的な銃規制に取り組むつもりがないことを暗に示している。アメリカでの銃犯罪は年々増加傾向にあり、『米ビュー研究所』の調べによれば、2016年には米国内で1万1000人以上が銃犯罪によって命を落としており、殺人事件に占める発砲案件の割合は64%もあった。ちなみに近年の他国のこの数値を見ると、イングランドとウェールズでは4.5%、カナダでは30.5%、オーストラリアでは13%であり、アメリカの銃犯罪がいかに深刻かが分かる。

伝統的に自衛のために銃を所持する市民が多いアメリカで、銃規制を浸透させるのは簡単ではない。だが、カーが強く主張するように、祈るだけでは事態は改善しない。何か変化を起こさなければ、この状況を黙認しているのと同じ。身内の命を奪われたカーの言葉は、決して軽くない。