ヤコブ・パートル

ポポヴィッチも「スペクタクル」と称賛

スパーズvsロケッツの一戦、ダブルオーバータイムにもつれる激闘を制したのは、常に追いかける展開でも粘り続けたスパーズだった。

第3クォーターを終えた時点で97-81とロケッツが16点リード。ジェームズ・ハーデンが徹底マークに遭いながらもフリースローで得点を重ね、リードを生み出していた。それでもここからスパーズは驚異の粘りを見せる。ディフェンスで全員が奮闘、特にリバウンドでは高さで負けていてもタップで繋いでチームでボールを守り、ロケッツの勢いを止めた。

ラスト1分でロニー・ウォーカー四世が相手ディフェンスの隙を突いてアリウープに連続3ポイントシュートを決めて一気に追いつく。残り2秒、ウォーカー四世とデマー・デローザンをかわしたハーデンが自信を持って放ったシュートは、ヤコブ・パートルが叩き落した。

そのパートルはオーバータイムにも決定的な働きを見せる。この試合、ハーデンは50得点を記録するのだが、フィールドゴール成功率は29%(38本中11本成功)と低調。それでも24本のフリースローを獲得しすべてを決めた。スパーズがファウル覚悟で激しく守った結果でもあり、ハーデンが巧みにファウルを引き出した結果でもあるが、延長の勝負どころでハーデンを止めたのがパートルだった。

セカンドオーバータイムの残り2分30秒、パートルはピック&ロールから加速するハーデンのコースを塞いでオフェンスファウルを誘発する。その直後にはパティ・ミルズがクリント・カペラからオフェンスファウルを引き出し、フロアに倒れながらガッツポーズ。止められないロケッツの攻めを連続で止めたことで、試合は一気にスパーズへと傾いた。

そんな激戦に終止符を打ったのはデローザンだ。延長に入ってからボールを集められてもなかなか得点を奪えなかったデローザンだが、残り3秒でボールを託されるとカペラとオースティン・リバースに囲まれながらも迷わずリングにアタックし、ファウルをもぎ取った。このフリースローを2本とも決めて逆転。このままスパーズが135-133で勝利した。

この試合でパートルは、キャリア最長となる41分のプレータイムを得て、キャリアハイの15リバウンドと5ブロックを記録。試合後のロッカールームでは、ハーデンからファウルを誘ったプレーをこう振り返った。「ファウルを誘っているのは分かっていた。それまでと違い、バスケットにアタックする勢いがないように感じたから飛び出したんだ」

そんなパートルのプレーを、グレッグ・ポポヴィッチは「スペクタクルだっただろ?」という表現で称えた。

スパーズはこれで8勝14敗。まだまだ勝率5割は遠いが、間違いなくこのロケッツ戦は今シーズンのベストパフォーマンスだった。パートルは言う。「ウチは8勝14敗のチームじゃない。それは今日の試合で分かってもらえたはずだ。今日の試合で得られた感触を次のキングス戦にも持ち込みたい」

ただ、次のキングス戦までには中2日あり、パートルには休養が必要なようだ。「信じられないぐらい疲れたよ。ものすごく気分が良いから死ぬことはないと思うけどね。明日はずっとベッドで過ごすよ!」