「プライドを持って」取り組むディフェンス
昨日、ブレックスアリーナにシーホース三河を迎えた開幕戦。栃木ブレックスは先行を許すも、持ち前の堅守から流れを呼び込んで逆転。その後は盤石のバスケで三河に付け入る隙を与えず、開幕戦を78-64と勝利で飾った。
栃木で10回目の開幕を迎えた田臥勇太は「初戦ということで、自分たちが目指すバスケットをどれだけできるかをコーチからも言われていて、最後まで集中を切らさずやれたのは次につながる試合だったのかなと思います」と試合を振り返った。
栃木の『目指すバスケット』は昨シーズンから変わらぬ堅守とリバウンドだ。昨シーズンから大幅にメンバーが入れ替わり、ヘッドコーチも代わったが変わらぬスタイルを披露できた理由を、田臥はこう説明する。「ディフェンスについてはみんなが言い続けています。このチームが大事にしている部分だっていうのを今までいたメンバーはプライドを持ってやっているし、新しく入ってきたメンバーも意識しながら取り組んでくれています」
「それぞれチームのカラーがあると思いますが、自分たちはディフェンスから頑張るというスタイルです。今年はメンバーが変わったからこそ、自分たちはどういうチームかというのを言い続けてやっていきたいと思います」
「自分たちの強さはファンと一緒に戦う部分」
昨日の試合、田臥は21分間の出場で5得点4アシストと元気な姿を見せた。5得点はすべて第3クォーターにリードを広げる場面、いずれも速攻から生まれたものだ。そしてターンオーバーは0、その安定感は今年も健在だった。それでも自身の出来については「まだまだです。試合勘もそうだし、点数を付けられるまで至ってないです」と誇ろうとはしない。
チームが勝利したことも含め、試合をコントロールするポイントガードとしての出来は決して悪いものではなかった。だが、具体的なプレーの内容に踏み込めば、「試合の入り方もそうだし、シュートセレクションもそうだし、コントロールの部分も得点が停滞した時もあったりとか、ヘルプの寄りが遅かったりとか、細かいことを言えばキリがないです」と反省点がすらすらと出てきた。
現状に決して満足しない向上心は今シーズンも変わらない。また変わらないものがもう一つある。それはファンと一緒に戦う意思だ。この日も4000人を超えるファンが集まり、ブレックスアリーナを黄色に染めた。
「特に激しい試合になればなるほどファンの声援が力になって、相手にもプレッシャーになると思います。何度も言いますが自分たちの強さはファンの方と一緒に戦う部分だと思っています。昨年以上にホームゲームで激しく戦いたいと開幕戦で思いました。本当にありがたいです」
1年を通じてレベルアップする『意思の強さ』の象徴
ファンとともに優勝を目指す栃木だが、東地区は昨シーズン以上の超激戦区となった。「去年と同じだったら勝てないと思います。昨年以上にレベルアップしないと優勝なんかできるわけないと思っているんで、チームでいかに成長していくかですね」と田臥。
長丁場のリーグ戦では、目先の1勝に一喜一憂することなく、ゴールを目指して着実に力を高めていく必要がある。昨シーズンの栃木は年間を通じて強かったが、やはりチャンピオンシップに合わせて1年の集大成を作り上げる『意志の強さ』は際立っていた。顔ぶれは変わったが、その姿勢は変わらない。そして『意思の強さ』の象徴である田臥勇太もまた、変わらず健在であることが十分にアピールされた開幕戦だった。