「5年以内に必ず日本の強い時代がやってきます」
11月18日、川崎ブレイブサンダースの篠山竜青が日大豊山高校でバスケットボールクリニックを行った。参加したのは日本大学付属の日大豊山高校、日大櫻丘高校、日大鶴ケ丘高校のバスケ部に所属する70名。川崎とスポンサーシップを結んでいる日本大学の卒業生ということで、篠山に白羽の矢が立った。
生徒たちの拍手で迎えられた篠山はクリニックを始める前に、「夢を持ってほしい」と若い生徒たちへ訴えた。
「東京オリンピックも大事だけど、東京オリンピックの後がもっと大事だと思っています。八村塁選手や渡邊雄太選手だったり、馬場雄大選手だったり、今乗っている若手選手たちが経験を積んで、脂が乗って20代中盤から後半を迎えます。あと5年以内に必ず日本の強い時代がやってきます。彼らが全盛期の時に誰が一緒にプレーをしているかというと、僕ではなく君たちの世代です。全盛期の八村塁と一緒に世界で戦わないといけない。そういう夢を持ってほしい」
壮大なビジョンを語った篠山だったが、「キレイなコートがいつでも使えて、充実したトレーニング施設があって、寮に帰れば栄養管理がされた食事が用意してある。せっかく付属校にいるので、是非日大も候補の一つに入れてみてください」と、営業トークを入れてくるところはさすがであった。
自ら手本を見せる熱血指導
篠山が用意したメニューは「ディフェンスの1対1の駆け引き」、「フローターシュートのコツ」、「フロアバランスを考えたパッシング」の3点。中には、川崎や日本代表でも取り入れている練習メニューもあった。
ディフェンスの1対1の駆け引きでは、ボールを保持した選手に対しプレッシャーを与えるだけではなく、ボールを奪う意識が重要と説いた。また、今回は多少ファウルになってもいいと前置きをして、胸で相手を押してフィジカルに守ることを教えた。
フローターシュートの練習では、篠山が自らお手本となってコツを伝授。「外れる時は前に重心が行ったり、横に跳ぶ時がフローターがブレる要因の一つ」と話し、真上に跳ぶ意識付けをした。また、「ブロックをかわそうとしているのに、自分からディフェンスに近づいてしまっている」と、前に跳ぶことのデメリットを教えつつ、指導した。
パッシングでは、パス&ゴーを意識させ、ボールがないところへ移動することを身体に叩き込んだ。篠山が「視野とか周りの選手との連携を成長させられる」と言ったように、最初は考えながらのプレーとなりぎこちなかった生徒たちも、時間が経つにつれて慣れ始め、スムーズなボールムーブを実現させた。
富樫について「こんちくしょうと思っています(笑)」
濃密な練習時間はあっという間に過ぎ、クリニックの最後には質問コーナーが設けられた。
「富樫選手のことをどう思っていますか?」と、いきなり直球を放り込まれると、篠山は「こんちくしょうと思っています(笑)」と笑いを誘いつつ、「僕とは全然違うタイプですけど、彼に負けないように、篠山選手も頑張りたいなって常日頃思っています。ライバルです」と、回答した。
また、今まで対戦した選手の中で一番手強かった選手を聞かれると、先日のワールドカップで対戦した現役NBAプレーヤーの名前を挙げた。
「一番はやっぱりケンバ・ウォーカーかな。身長は本当に篠山選手と変わらないし、体格もメチャメチャすごいというわけではないけど、やっぱりぶつかった時の重さとか、対峙した時のスピードは、一番衝撃的だったかなと」
「僕も日大のOBとして、こうやって付属高校の皆さんとかの活躍もチェックしていますので、是非頑張ってください。川崎ブレイブサンダースの背中には日本大学という文字が入っています。今年は悲願の日本一になれるようにやりますので、応援してください」との篠山の言葉で、約2時間のクリニックは締められた。
豊山高校のキャプテンを務める粕尾和季は「テレビで見るよりもすごいオーラがあって、かっこよかったです」と篠山の印象を語り、「パスを出したら逆サイドに切れるとか、スペースに飛び込むとか、そういうところが勉強になりました」と、パッシングの練習が一番ためになったという。
現役Bリーガーであり、日本代表キャプテンに直接指導を受けた経験はかけがえのないものになるはず。今回のクリニックがきっかけとなり、篠山の「夢を持ってほしい」との願いが叶うことに期待したい。