NBAグリズリーズでは開幕から6試合で出番なし
NBA開幕から遅れること約1カ月、現地11月8日にGリーグが開幕する。
NBAの下部リーグという位置付けではあるが、リーグの発表によれば今シーズン開幕時点でNBAのロスター入りを果たした全選手のうち42%がGリーグでのプレー経験を持ち、ヒートのケンドリック・ヌンやウォリアーズのエリック・パスクホールのように、昨シーズンのGリーグで経験を積んだ選手が、ステップアップしたNBAでもすぐさま結果を出すケースは少なくない。
グリズリーズと2ウェイ契約を結ぶ渡邊雄太は、今シーズンもグリズリーズと傘下のハッスルの両チームを行き来しながらプレーすることになりそうだ。グリズリーズは『チームの顔』だったマイク・コンリーをトレードで放出。ルーキーのジャ・モーラントを軸に新たなチームを作っている。ここまで1勝5敗、渡邊は11月5日のロケッツ戦で今シーズン初のベンチ入りを果たしたものの、出場機会はなかった。
渡邊はサマーリーグでは結果を残したものの、ワールドカップを終えてチームに合流した後のプレシーズンゲームでは満足な出場機会を与えられず。すでに1年間プレーしているため、コーチ陣からすればテストする必要がなかったとも言えるが、グリズリーズではなくあくまでハッスルの戦力と見なされていたとも言える。
渡邊にとって難しいのは、Gリーグでの活躍がNBAでのチャンスに繋がらないこと。昨シーズン後半、ハッスルでは完全にチームの主軸となり、スタッツも安定して残しているが、チーム事情もあってグリズリーズのメンバーに定着するには至っていない。
ただ、現状に不満を言っても状況が変わらないことは、他ならぬ渡邊自身が最も理解している。ワールドカップを終えてアメリカへと戻る際には、こんな言葉で決意を語った。「GリーグとNBAでは、力はかけ離れていますし、Gリーグで結果を出した選手が必ずしもNBAで結果を出せるわけではないので。そこはコートに立って証明する以外に方法はありません。自分が成長してコーチたちに認められる以外に方法はない」
再建期にあるグリズリーズにおいて、ジャ・モーラントやブランドン・クラークといったドラフト組に優先してチャンスが与えられるのは仕方のないこと。渡邊としては日々やるべきことに集中してGリーグで結果を出し続けるしかない。
Gリーグ開幕を控えたメディア対応で、渡邊はこう語っている。「昨シーズンよりかなり楽にやれています。GリーグとNBAでプレーした経験が生きていて、多くの部分で成長できたし、自信もあります。ディフェンダーとして優れているしリバウンドも取れる。シュートも上手くなっています。いろんな面でチームに貢献できると思っています」
「昨シーズンはルーキーで右も左も分かりませんでしたが、今年は違います。今シーズンはこのチームのリーダーになりたい。自分の経験を生かして、GリーグとNBAがどういうものかをチームメートに伝えられるとも思っています」
渡邊にとっては2ウェイ契約の最終年となる。もしこのままグリズリーズが彼を必要としなかったとしても、ハッスルで実力を伸ばし、明確な結果を残しておくことで、フリーエージェントとなる来年オフに結べる契約が変わってくる。サイズと俊敏さを生かしミスマッチを作られにくい『3&D』としての万能性はどのチームからも重宝される。今は陽が当たらなくても、ここで着実に自分の価値を高めておくことは必ず次に繋がるはずだ。