キングスを率いる佐々宜央『下克上戦記』vol.18~重圧は自分が受け止めてあげたい

2019/11/01
Bリーグ&国内
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佐々宜央

琉球ゴールデンキングスを率いて3年目。堅守をベースにしたバスケットは揺らがないにせよ、そのスタイルは向上を求めて毎シーズン変化していく。佐々宜央が考える『3年目のキングス』はどのようなバスケットを展開するのか。そしてヘッドコーチとして3年目を迎えた佐々は、バスケットボールの指導者として、またリーダーとしてどのような変化があるのか。厳しい戦いの中に身を置く佐々が、じっくりと考えを巡らせたオフに得た収穫を語る。

「選手には楽しみながらやってほしい」

──今年のチームは、リーグの中でも上位に入るくらいローテーションを徹底してプレータイムをシェアしています。30分以上プレーする選手はほとんどいない状況ですね。

僕の感覚として、このフィジカルの強度のディフェンスを求めたら1試合30分起用するのは難しいです。9人、10人でローテーションする中でもインサイドは実質3人で回しているので、そこで外国籍選手について途中である程度は激しさが落ちても致し方ない部分はあります。でも、このようにプレータイムをシェアするのは今後も変わらないスタンスです。

この戦い方になったのは、当初からそれを意図したというより、集まった選手を見て持ち味を生かすことを考えた結果です。ただ、今は少しプレータイムをシェアしすぎている感覚もあります。その結果として、出ている選手がなかなか波に乗れない現象も起きたりします。そこはローテーションに入る人数について、減らすこともあると思います。

──ローテーションや外国籍選手の起用など、いかに選手にストレスを溜めさせないかは、コミュニケーションが大切になります。

今シーズンは、よりコミュニケーションを大事にしています。スカウティングとか全体ミーティングが少なくなって、選手一人ひとりと話す機会を増やしています。それもあえてスタッフに話してもらうとか、ただ話すだけではなく映像を使いながらなど、いろいろな方法を使います。

昔は「背中を見てついてこい」とか「聞いたりせず盗め」みたいな時代もありましたけど、今はそれでは通用しません。誠実という言い方は綺麗すぎですが、察しろではなく、こちらからできるだけ自分が考えていることを分かりやすく伝えるように意識しています。

昨シーズン、自分が苦しくてネガティブな時期に、そういうものを選手に背負わせてしまった部分がありました。今シーズンはむしろ周りからタレントが低いとか見られ、選手たちはプレッシャーが大きい中でやっていると思います。だからこそ、その重圧を受け止めてあげたい。選手には楽しみながらやってほしい気持ちです。

佐々宜央

「この2年間、リーダーシップを履き違えていた」

──引き続き堅守を基盤とするスタイルは継続していく中でも、昨シーズンと比較して戦い方にはどんな変化があると考えていますか。

去年と全く違うのは外国籍でジョシュ・スコットが戻って、ジャックもいることでインサイドに深みを持つバスケットになることです。土台としてリバウンドとディフェンスがあります。ただ、オフェンスはまだ自分の指導力のなさを感じていますし、リセットしきれていないことが悔しいとも思いますね。

──一人のコーチとして成長するため、オフシーズンはどのように過ごしていましたか。

バスケットボールの繋がりで知り合った人たちだけでなく、様々な仕事をしている方たちとも話しをしました。そこで感じたのは、自分はこの2年間、リーダーシップを履き違えていたことです。

チャンピオンシップが終わった3日後くらいには、ルカ(パヴィチェビッチ)の家に泊まりました。ルカは、外から見ると厳しさだけが目立っているかもしれない。ただ、一緒に話していて悔しいですけど彼の人間力の高さを感じます。練習は厳しいですし、試合中もずっと険しい顔をしていますけど、最後にはみんな憎めないのがルカの人柄です。

当時は、自分のことをすごく責めていた時期でしたが、ルカにもいろいろと彼の至らないところを話してもらいました。また、「お前の考えだと、B1の18チーム中、優勝できなかった17チームはみんな酷いヘッドコーチなのか。そんな考えてではコーチ業をやっていけないぞ。よくやっているんだから自分を責めるな」と言われました。相変わらずルカは良い兄貴分だと思いました。オフシーズンは彼以外にもいろいろな人に出会い、それぞれのリーダーシップに触れましたが、共通しているのはみんな人間力が高いことです。

佐々宜央

「良い結果を残すには良いリーダーにならないと」

──このオフの出会いを経て、今シーズンの佐々さんが目指すコーチ像はどんなものですか。

ヘッドコーチはバスケットボールを教えてチーム作りをすることが第一ですが、昨シーズンも言いましたが、人の心を預かる職業です。でも、これまでの自分は預かりきれていなかった。選手を生き生きとプレーさせることで、持ち味を出すことに繋げられるか。そして選手の気持ちをどれだけポシティブな方向に持っていけるのか。その部分をより意識して、今も継続中です。

オフシーズンにはそれこそビジネス書もたくさん読みましたし、いろいろなリーダーの方たちと話をさせてもらいました。成功している方は皆さんポシティブで、どんよりしている人はいません。自分としても、そういったリーダーになりたい。また、今シーズンに良い結果を残すには、自分が良いリーダーにならないといけない。そうなれば選手たちも良いパフォーマンスができる。今はそういう思いです。

──最後に短期的、中期的な視点として、まずは年内までにここまでは形にしたいと意識していることを教えてください。

形にしたいものはいっぱいありますね。オフェンスではどこで強みが出せるのか。それを前半戦までにしっかり見いだして確立したいです。そして後半戦で、それをどうやって使ってゲーム巧者になっていくのか。今は試合を重ねることで強みを発見して、それを発揮できるようにしていきたいです。