前回大会の3位決定戦で敗れたロシアにリベンジ
ユニバーシアード競技大会、女子日本代表は準決勝でロシアと対戦した。
第1クォーターは立ち上がりこそ重い展開で拮抗したが、時間の経過とともに日本代表の良さが出てくる。高さで勝るロシアを相手に基本のボックスアウトを忠実に実行し、リバウンドで上回った。
高さというロシアの優位を消したことが結果的に勝因になるのだが、佐藤智信ヘッドコーチはゲームプランをこう明かす。「相手が大きいので、とにかくペイント内のシュートを出来るだけ少なくしようと、ペイントの外に追い出して、若干の外からのシュートに遅れて打たれても仕方ないと思っていました。ただ、その次のセカンドショットを打たせないように、リバウンドだけしっかり取ろうと選手たちに伝えました」
このゲームプラン通りにリバウンドを制してディフェンスでまず主導権を得ると、オフェンスでは日本の持ち味を存分に発揮する。機動力を生かした地上戦で走り勝つのはもちろん、人もボールもよく動いてロシアを振り回した。
林咲希が第1クォーターから3本の3ポイントシュートを沈めるエースの仕事をやってのける。リードしたことで落ち着いてプレーした日本はそれぞれが持ち味を発揮してリードを広げていく。「3ポイントシュートもそうですが、自分がやるべきことを徹底してやろうと思って試合に臨みました」と話す林は引き続きシュートタッチが良く、最終的には10本中6本の3ポイントシュートを含む22得点を挙げた。
大柄な相手の足元を狙うインサイドへの合わせを連発
先発ポイントガードの安間志織は守備では先頭に立って激しくプレッシャーをかけ、攻めに回れば強気なゲームメークでアップテンポな展開を演出。林が当たっていても外一辺倒ではなく、大柄なロシアの選手の足元を狙うインサイドへの合わせでイージーシュートのチャンスを次々と作りだした。また先発センターの田中真美子はロシアのビッグマンとのフィジカル勝負を引き受けつつ、その安間のパスを引き出してはペイント外からも丁寧にシュートを決めて、前半だけで7得点と流れを作った。
前半の最後に林のロング3ポイントシュートが決まり、44-27と大量リードで試合を折り返すと、後半の立ち上がりも林の3ポイントシュートからスタート。体力的に苦しい時間帯も途中出場の津村ゆり子や藤本愛妃がエナジーをもたらし、ベンチスタートに回った藤岡麻菜美はパスでつなぐ安間とは逆にクロスオーバーから自ら切り込み攻撃にアクセントを加えた。
64-46で始まった最終クォーター、ロシアはインサイドでの攻勢を強めるとともに、アウトサイドのシュートにもようやく当たりが出始める。一時は猛反撃を浴びて点差を詰められたが、ハイペースでの打ち合いに応じて流れを呼び戻し、残り5分23秒で75-55と再び点差を20点とする。ここでロシアはタイムアウトを取るが、その直後にリバウンドから津山が速攻で走る。
これを止めたロシアの選手がアンスポーツマンライクファウルを取られ、津山が2本のフリースローを決めて77-55、さらに日本ボールでの再開に。これでロシアは意気消沈。最後の5分間、パワープレーがハマれば脅威となったかもしれないが、散漫なプレーに終始。最後は日本が余力を残して84-63と大勝している。
勢いに乗るオーストラリアが相手の決勝は28日夜に開催
会心の勝利をポイントカードとして演出した安間は「走るバスケットが出来たので良かった」と試合を振り返りながらも、「ターンオーバーだったり、もう少し良いパスを出せたと思いますし、ディフェンス面でも相手と身長差があるのもありますが、もっとプレッシャーをかけられたと思っています」と決勝に向けて改善すべき点を挙げた。
決勝の相手はオーストラリア。ユニバーシアード直前に日本で開催した『4ヵ国対抗』で対戦したチームであり、佐藤ヘッドコーチは「相手も大きいので、戦い方は同じになると思います。4ヵ国対抗の時に戦って、やれるという手応えも感じているので、あとは細かいところをいかに徹底できるか」と気を引き締める。
エースの林は「4ヵ国対抗の時は最後のディフェンスの粘りがなかったので、決勝でもディフェンスからしっかりやっていこうと思います。必ず金メダルを獲ります」と優勝へ意気込む。
オーストラリアはグループリーグでロシアに敗れているが、決勝トーナメントに入ってアメリカ、そしてホスト国のチャイニーズ・タイペイを撃破して勢いに乗る。8月13日に行われた『4ヵ国対抗』での対戦では、日本は第3クォーターまでリードを保ったものの、逆転負けで接戦を落としている。
それでも日本も大会を通じてレベルアップしており、このロシア戦ではA代表を見るかのような守備での粘り、攻めでの思い切りの良さが出ていた。今日は休養日となり、28日の日本時間21時から決勝戦が行われる。是非ともオーストラリアを倒し、金メダルを持ち帰ってもらいたい。