韓国のチームを序盤から圧倒、引っ張ったのは富樫
マカオで開催されている『テリフィック12』に参加した千葉ジェッツは昨日、初戦でブラックウォーターエリートと対戦。試合開始から5分を待たずして20-6と大量リードを奪い、千葉は勝利を大きく引き寄せていた。この時点で富樫勇樹は6得点5アシストを記録する大暴れで、アジア各国から来ている記者たちも富樫にボールが渡るたびに息を飲んだ。
前半を終えた時点で64-25と39点差。第3クォーターにやや緩みが出たものの、それでも千葉の勝利が揺らぐことはなく、全員でタイムシェアをしながら悠々と試合を進め、109-69と大勝した。
ワールドカップ出場を棒に振った右手の骨折はすでに治った。ただ、富樫本人に言わせればまだ完全復活ではなく、試合を重ねることで調子を上げているところ。「骨はちゃんとくっ付きました。あとは手首も含めて骨ではない部分の感覚、固さがちょっと気になるところです。特にシュートを打つ右手なので。それでも日に日に良くなっている感覚はあります。アーリーカップでも1試合目より2試合目のほうが良かったし、この大会もまた良くなっています。まだ時間はあるので、開幕までにケガをする前の感覚に戻せたらいいと思います」
試合としては完勝だったが、それでもディテールにこだわる千葉の一員として、第3クォーターにやや勢いを失ったことを課題に挙げる。「相手がどんなチームか分からず、特に対策もせずに自分たちが今までやってきたことだけをやって、前半は良い感じで入れました。後半はゾーンをやられて、そこで点差のこともあり集中力が切れてしまった部分がちょっとあったと思います。こういう試合はいつやっても難しいです。ただ、まず1勝できて良かったです」
チーム内競争で「飛び抜ける選手が出てきてほしい」
開幕が近づきつつあるとはいえ、まだ千葉は『2019-20シーズンモデル』を模索している段階。「チームとしてのローテーションがまだ決まっていなくて、ヘッドコーチもまだどの選手をどう使うか決めていないと思います。昨シーズンあったローテーションがなく、その部分で戸惑いじゃないですけど、やっていて難しい部分はあります」
そんな富樫にとって、今のチームビルディングは、難しいが楽しい作業だと言う。「誰が出てももちろん高いレベルをキープしてやりたいですが、ある程度のローテーションはあったほうがやりやすいというのが、やはりポイントガードとしてはあります。そこがここからどうなっていくのか。外国籍選手も3人ビッグマンで、誰がどのタイミングで出るのか、そこが変われば自分のプレーも違ってきます」
石井講祐とアキ・チェンバースが抜けたポジションでも、新加入のコー・フリッピンと晴山ケビンを含めて激しいチーム内競争が繰り広げられている。「誰がどれぐらい出ることになるのか、今はまだ正直分からないですね。だからと言って、その時に調子の良い選手を使うのもどうかと思うんです。みんなそれぐらい責任を持ってやる必要はありますが、各ポジションで誰か一人がそこからバッと飛び抜けて信頼を得る、そんな選手が出てきてほしいです」
テリフィック12は「毎年すごく楽しみにしている大会」
『テリフィック12』は富樫自身が実戦の中でケガからの復調を進めるとともに、チーム内競争の中で全体をレベルアップさせるための大事な大会となる。その意義と目標を富樫はこう語る。
「チームとしてはこれが最後のプレシーズンゲームになるので、結果にも内容にもこだわらなければいけない。あとは勢いという意味でも、優勝して開幕を迎えることが一番ですから勝ちたいと思います」
「あと個人的には」と言って富樫は笑顔を見せた。「この大会は楽しいんです。アジアのチームと対戦する機会はなかなかないし、こういうちゃんとした大会は特にそうなので。だから毎年すごく楽しみにしている大会です」
昨日、千葉は大会の2試合目を戦ったが、1試合目の試合開始時間のずっと前から富樫は一人で会場に現れ、コートサイドを歩いては顔見知りの関係者と言葉をかわしていた。これが富樫の言う「この大会は楽しい」の表れだろう。長いシーズンを戦い抜くための最終調整をこの『テリフィック12』で。夏にプレーできなかった分も合わせて、富樫は意欲に満ちている。
@YukiTogashi leading @CHIBAJETS with 10 points in 1st quarter after coming back from injury ? pic.twitter.com/ri5ljEj417
— East Asia Super League (@EASLofficial) September 18, 2019