U-19ワールドカップが開幕、女子日本代表は強豪オーストラリアに粘りに粘って競り勝つ大金星で最高のスタートを切る

2017/07/22
日本代表
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文=鈴木健一郎 写真=FIBA.com

2年前にはU-17ワールドカップを制した強豪が相手

イタリアで今日開幕したU-19女子ワールドカップ。日本代表は初戦でオーストラリアを破る好発進を見せた。

オーストラリアは2年前のU-17ワールドカップ優勝チームで、この時の主力の半数がU-19へとそのままステップアップしている。中でもエジ・マグビーゴルは195cmのサイズがありながらフットワークもあるエースで、U-17ワールドカップではMVPに輝いている。

日本の苦戦は必至と思われたが、立ち上がりからゴール下をがっちりと固め、ボールを入れられても容易にシュートを打たせない。188cmの梅沢カディシャ樹奈を中心に、まずはオーストラリアのインサイドを封じてロースコアゲームに持ち込むことに成功した。

13-13で始まった第2クォーター、ポストプレーで相手に攻撃の軸を作られたこと、逆に日本はスティールからの速攻を得点につなげられないなどミスが出て、オーストラリアに流れが傾いたかに見えた。しかし、日本が相手の力強い攻めにも落ち着いて対応したのに対し、オーストラリアは不用意なファウルがかさんで早々にチームファウルが5つに。日本はフリースローで持ち直し、第2クォーターの最後は相手の攻めをきっちりと止め、残り10秒で最後のポゼッションを得ると、澁谷咲月がきっちりと得点につないで31-28とリードして前半を折り返した。

後半に入りやや足の止まる時間帯、イージーなミスが出て逆転を許すものの、大崩れすることなく耐えて追いかけていく。そして第4クォーター、辛抱できなくなったのはオーストラリアだった。開始早々にマグビーゴルがフリースロー2本を決めて得点を50に乗せるも、ここから足が止まりミスも増える。積極的にリングにアタックする阿部泉美がチームに活力を与え、日本はドライブを意識させつつペイント手前からジャンプシュートを打ち切るオフェンスの形を、第4クォーターにしてようやく見いだした。

終盤の勝負どころで『メンタルの持久力』の差が出た

オーストラリアは第2クォーターに続き早々にチームファウルが5に到達。結果的にこれが重くのしかかり、日本には大きなアドバンテージとなる。

それでも残り4分22秒、これまでミスらしいミスのなかった日本はコート中央でボールを奪われ速攻を許し、56-56の同点に追い付かれる。体力も気力もキツい時間帯のミスで、これを引きずるとチームが崩れかねない際どい場面だったが、ここでもディフェンスからリズムを立て直し、リバウンドから宮下希保のランニングプレーが炸裂。これまでオーストラリアは日本のトランジションバスケを強く警戒してきたが、さすがにこの時間帯になると足がついていかなかった。その直後には栗林未和のスティールから髙原春季の速攻が決まり、さらにはオフェンスリバウンドを奪った馬瓜ステファニーがセカンドチャンスポイントをきっちり得点につなげる。この6-0のランで試合は一気に日本へと傾いた。

マグビーゴルが勝負強く反撃の得点を奪い、残り1分を切ってようやく最初の3ポイントシュートが決まり、オーストラリアが反撃を試みる。残り18秒、64-61の場面。オーストラリアの分厚い波状攻撃をしのぎ、馬瓜がティップしたリバウンドを自ら押さえて守り切った残り2秒で勝負アリ。最終スコア66-61で日本がオーストラリアを撃破した。

スタッツに表れない仕事を全員が全うしての大金星

髙原が12得点、佐坂樹と阿部が10得点、梅沢と栗林がそれぞれ6リバウンドと、スタッツ的にはそれほど見るものはない。それでも梅沢がゴール下の守りを支えて混戦を演出し、粘り強いマークがオフェンスファウルを誘い、それがオーストリアの手足を縛ったのは間違いない。そして栗林も、梅沢に代わってコートに立った時間帯は遜色のないディフェンスできっちりとつないだ。馬瓜は自分の形でシュートまで持ち込めず苦しんだが、それでも勝負どころで得点、フリースロー、そして最後の『決勝リバウンド』と要所で働いた。

今日の試合、フィールドゴール60本中22本(36.7%)とシュートがとことん入らず、リバウンドでもオーストラリアの52に対し37と下回った日本が勝てたのは、スタッツに出ないリバウンドやルーズボール、ファウルすればその場はしのげるが後が苦しくなる場面で我慢し続けたことが要因だ。

オーストラリアはこの年代で突出した強さを誇る相手だが、サイズで負けていても100%の集中で対応し続ければ、そう簡単には破られないことが分かった。マグビーゴルはフィールドゴール11本中8本、ゲームハイの21得点を挙げたが、逆に「11本しかシュートを打たせてもらえなかった」とも言える。そして競った展開が続いた終盤、気持ちの面でも体力面でも苦しいのは強豪国も同じ。綱渡りのような危うい局面を何度も乗り切り、勝利をつかんだということだ。

グループ1位通過とベスト8進出が早くも見えてきた

日本は明日ハンガリーと、中1日を置いて25日にメキシコと対戦する。今大会はグループリーグの結果にかかわらずベスト16に進出できるが、順位次第でベスト16の相手が決まる。ハンガリーかメキシコに勝って2勝すればグループ1位が濃厚。そうなればベスト16で格下と当たり、男子が果たせなかったベスト8進出、さらにはその先も見えてくる。

過密日程の中で気力、体力とも要する今日のような接戦を続けるのは簡単ではないが、今日のパフォーマンスを見る限り、彼女たちはやってくれそうだ。何より、接戦を勝ち切ったことに意味がある。男子に続き、女子もU-19ワールドカップは楽しみな大会になりそうである。