ヴァシリイェ・ミチッチ

「極めて辛い時なのに、チームに残ることを選んでくれた」

バスケワールドカップで優勝候補の一つに挙げられているセルビアは、今夜の準々決勝でアルゼンチンと対戦する。

司令塔のヴァシリイェ・ミチッチは、この大会でここまで平均6得点、1.6リバウンド、4.4アシストを記録。攻守にチームを引っ張るプレーを見せて勝利に貢献してきた。しかし、今夜の試合には特別な思いで臨むことになってしまった。というのも昨日、最愛の母親が死去したことを知らされたのだ。

セルビアのメディア『Sportska Centrala』によると、ミチッチは準々決勝の舞台となる東莞に到着した際に母親の死を伝えられたという。ミチッチには、すぐに代表チームから離れて母の葬儀に参列するという選択肢もあった。しかし彼は苦悩した末に、チームのために中国に残り、仲間と戦うことを選んだ。

セルビアのヘッドコーチ、アレクサンダル・ジョルジェビッチは、難しい決断をしたミチッチを「彼にとって極めて辛い時なのに、チームに残ることを選んでくれた」と称賛。そして、彼が大会前から苦しい思いをしていたことを明かした。

「これをメディアの前で話すのは初めてだが、彼は大会が始まる前から難しい状況に置かれていた。辛い状況を乗り越えて、チームに残りアルゼンチン戦に出場することを決断してくれた。彼が残ってくれることは我々にとっても非常に大きなことだよ」

本来ならプレーできる心境ではないはずだ。しかし自分で代表に残ると決めた以上、今夜のアルゼンチン戦でも気持ちの入ったプレーを見せてくれるに違いない。