初の3ポイントシュート成功「自分のリズムで打てた」
「決められて良かった」。その言葉とは裏腹に、安藤周人の表情は曇ったままだった。それもそのはず。日本代表は1次リーグで3連敗を喫し、順位決定戦のニュージーランド戦にも81-111の大差で敗れたからだ。
安藤周人はトルコ戦で3本、アメリカ戦で3本の3ポイントシュートを放ってきたが、すべてリングに弾かれていた。「いつもよりもコートが狭く感じます」と話し、安藤周人は不調の要因をこう説明した。
「僕より小さい選手は2、3人しかいませんでした。普段だったら僕の方がデカくてシュートも簡単に打てるんですけど、この舞台に立つと、(馬場)雄太ぐらいのサイズが平気でゴロゴロいるので。リングも普段見えている角度から見えなかったり、そこのアジャストが全然できていなかったです」
ニュージーランド戦でも、最初の3本の3ポイントシュートは失敗に終わった。打つことに急いてしまい、自分のリズムで打てていなかったと安藤周人は言う。「ちょっと打ち急いでいるよって佐古(賢一)さんにも言われました。デカいから、無意識に早く打たないとという思い込みがあったのか、それでリズムを崩したのかなと思います」
それでも、試合の趨勢が決まっていた最終クォーター残り1分36秒に、ワールドカップで初めてとなる3ポイントシュートを成功させた。「最後の一本は自分のリズムで打てました。もうだいぶ遅いですけど、あれが自分のスタンスなんだなってあらためて感じたのは良かったです」
「あれだけ高確率で決めてくるのが基準」
昨シーズンのBリーグでの安藤周人は、1試合平均6.8本の3ポイントシュートを放ち、その成功率は40%を超えていた。だがワールドカップの舞台ではその力を十分に発揮できず、「あれだけ高確率で決めてくるのが基準になってくるので、Bリーグで40%決めたから別にすごいことじゃないです」と悟った。
世界基準のプレーを体感したことで、安藤周人の意識は変わりつつある。「Bリーグでポンポン打てるのは当たり前だと思っていて、今までは日本の中でしか考えてこれなかったです。でも世界と戦わせてもらって、日本に縛られるのではなく世界でその数字が残せなきゃと意識するようになりました」
世界に挑んだ日本だったが、ここまで4連敗とそのレベル差を痛感させられる結果に。それでも世界レベルから遠く離れた位置にいることを知るのも収穫だ。安藤周人の目線が日本から世界へと向くようになった。高い授業料かもしれないが、得られたものもある。それをどう生かしていくかは選手個々のこれからの努力次第だ。