フリオ・ラマス

「ワールドカップはすべてにこだわります」

バスケワールドカップに臨んでいる日本は、1次リーグを3連敗で終え、順位決定戦へと回る。八村塁が「膝の不調と疲労」により残り2試合を欠場することとなったが、追い打ちをかけるように、キャプテンの篠山竜青も戦線を離脱することとなった。順位決定戦は日本にとっては消化試合となる。そこにアクシデントが重なった形だが、指揮官のフリオ・ラマスは「重要な試合」と位置づけ、結果にこだわることを約束した。

「勝つこと、負けること。良い内容をすること、しないこと。そのすべてが重要になってくるので、そこはこだわってやっていきたい。この2試合でできるだけ競争をして、もちろん結果も求めていきたい。ワールドカップはすべてにこだわります」

発展途上の日本バスケにとって、こうした世界との戦いはかけがえのない経験になる。インテンシティや、スカウティングの徹底ぶりを見れば、強化試合とワールドカップがいかに別物であるかは明らかだ。

だからこそ、こうした大舞台で結果を残すことが何よりも重要だ。「これはワールドカップ。そこに試合がある限り勝ちに行き、できるだけ良い内容で大会を締めたい」と、ラマスは言う。

フリオ・ラマス

世界を感じるため、変更した起用法

チェコ戦で前半は互角の戦いを演じながらも後半に失速したこともあり、ラマスコーチはフィジカルコンタクトの差をあらためて痛感したという。そして、アメリカ戦ではスピード、高さ、フィジカルすべての面で劣っていることを実感した。

こうした不利を解消するために、12人ローテーションでのタイムシェアが理想となるが、トルコ戦とチェコ戦では主力選手にプレータイムが偏った。アメリカ戦では12人すべての選手を起用したが、ラマスコーチは「意図は違います」と、タイムシェアの2つの理由を説明した。

「アメリカ戦はグループ3試合目で、我々としても敗退が決まっていました。特定の選手にだけ負荷をかけたくなく、消耗も考えました。また、ドリームチームと対戦する経験をしてほしかったので、そこは重視してやりました」

アメリカと真剣勝負できる機会は少なく、肌で世界を感じることは選手たちにとって最上の経験となったことだろう。『経験の差』は間違いなく存在し、アメリカ戦を経たことで、選手たちに新たな感覚が芽生えたはずだ。

しかし、順位決定戦だからといってモチベーションを欠くようではラマスの配慮は意味がなくなる。来年の東京オリンピックに向けて、日本代表をチームとして強化できる機会は限られたものとなる。だからこそ、順位決定戦を意味のあるものにしなければならない。