佐藤涼成

高校の先輩、並里との対戦「あこがれの選手とマッチアップできた」

10月26日、広島ドラゴンフライズはアウェーの横浜ビー・コルセアーズ戦に90-64で圧勝。リーグ最速で今シーズン10勝目を挙げている。

序盤は互角のスタートとなるも、第2クォーターに入ると広島が堅いディフェンスで流れを引き寄せる。守備のズレを作らせず横浜BCにタフショットを打たせ、このクォーターで相手フィールドゴールを16本中5本成功に抑える。そしてオフェンスでは、積極的なゴール下へのドライブから確率良くシュートを決めることで、26-11のビッグクォーターを作った。

後半に入っても第2クォーターからの良い流れをキープした広島はゲームハイの23得点を挙げたコフィ・コーバーンを筆頭に、日本人選手たちも要所で得点を重ねるバランスの取れたオフェンスを展開。第3クォーター終了時点で23点の大量リードを奪い、そのまま逃げ切った。

広島は24日のレバンガ北海道戦で93-96と惜敗し今シーズン初黒星を喫していたが、ディフェンスの立て直しに成功。ターンオーバーから25得点と、堅守からのトランジションでイージーシュートを作り出す、自分たちの得意なスタイルで快勝した。

佐藤涼成は14得点6アシスト3リバウンド1スティールを記録。攻守に渡って持ち前のフィジカルの強さを生かしたアグレッシブなプレーで勝利に大きく貢献した。佐藤は「朝山(正悟ヘッドコーチ)さんから、北海道戦が終わったあとに『ここで頭を下げるのではなく、一つひとつまた頑張っていくぞ』と言われました。今日の試合では、みんながコーチの期待に応えるプレーを表現できたと思います」と試合を総括する。

ただ、チームでも屈指の好パフォーマンスを見せた自身に対する評価は厳しい。「個人的には最後にターンオーバーを続けて起こしてしまいました。これはチームからの信頼を落とすことに繋がると思っています。頼られる存在になるためにも、最後までしっかりチームをまとめる、ポイントガードの仕事を意識してやらないといけないです」

佐藤にとって横浜BCは特別なクラブで「(特別指定として)最初にプロでプレーしたチームであり、モチベーションが上がりました」と言う。さらに佐藤の闘志を掻き立てたのは福岡第一の先輩である並里成とのマッチアップだった。「並里選手は、小さい頃に父から『この選手はすごいよ』とプレーを見せられた1人でした。あこがれの選手とマッチアップできたのは自分にとってすごく大きな経験になりました」

そして特別な思いを抱く相手に1対1でファウルを受けながらレイアップを沈めたプレーを決め、雄叫びを上げた場面をこのように振り返る。「年齢関係なく、どんな選手を相手にしても負けられないです。そこからもう1段階気持ちが昂って、絶対に負けたくない思いの中でエンドワン(バスケット・カウント)ができ、うれしさとやってやったぞの気持ちが合わさったのが、あのパフォーマンスだったと思います」

「ポイントガードとして、どこにアドバンテージがあるのか見極める」

これで佐藤は2試合続けて2桁得点を挙げ、今シーズンはここまで10試合出場で平均6.4得点、3.8アシスト、2.1リバウンド、1.1スティールを記録。プロ2年目の23歳の若手ガードとして上々のスタートを切り、チームの開幕ダッシュにも大きく寄与している。

佐藤は大学4年生の秋のリーグ戦を前に白鷗大学を中退し、昨シーズンに広島に加入。即戦力として活躍したが、2025年12月に右膝外側半月板損傷の重傷を負い、25試合の出場に終わっていた。故障で消化不良の1年に終わったルーキーイヤーだが、それでも佐藤は得るモノが大きかったと振り返る。

「ケガをしたことも自分はポジティブに捉えています。プレーしているのと外からでは見えるモノが全然違うと感じました。昨シーズンは(伊藤)達哉さんがスタートで出ていて、ゲームコントロールは見ていてすごく勉強になりました。(伊藤のように)余裕を持ってプレーすることは自分にとって一番必要な部分と思っていて、今はスタートで起用されている中で意識しています」

ドウェイン・エバンス、クリストファー・スミス、メイヨ ニック、コーバーンを同時起用するラインナップは広島の大きな強みだ。佐藤は彼らとプレーする時間が多く、この強力ラインナップをうまく機能させるには余裕を持ってプレーし、ミスマッチの攻めどころをしっかりアタックさせる司令塔の冷静な判断力が大切だ。

佐藤はこう語る。「得点効率を考えた時、自分たちの外国籍に日本人選手がつくようなミスマッチはどんどん狙っていかないといけないのが一つあります。その中で今日は外国籍に相手の注意がより向かっていたので、自分がドライブで1人抜けばフリーになることは最初に仕掛けた時にわかりました。そこで自分が点数を取ることで、相手のディフェンスが変わってきて自分に対してヘルプが来たら、外国籍に預けようと考えていました。ポイントガードとして、どこにアドバンテージがあるのか見極めることを毎回突き詰めていきたいです」

「自分が攻められる時は今日みたいに攻めます」と言うように、佐藤がオン4においてもアグレッシブさを失わないことで、相手ディフェンスはより守りづらくなる。また、サイズ不足をカバーできるフィジカルがあり、自分より一回り大きい相手に対抗できるのも佐藤の大きな魅力だ。

オン4の爆発力が注目されがちな広島だが、今のスタートダッシュは日本人選手たちのスタッツに残らない遂行力の高いプレーが根底にあってこそ。その上で、佐藤はスタッツに残る部分でも爪痕を残している。広島が今の好調を維持していけば、快進撃を導く若手ポイントガードとして、佐藤の存在感はさらに増すだろう。