「今日は最後まで集中力を切らさずにできた」

10月17日、千葉ジェッツはホームで島根スサノオマジックと対戦し97-78で快勝した。

千葉Jはアドリアン・コヴァーチヘッドコーチが「第1クォーターのディフェンスは素晴らしかったです」と振り返るように、出だしから強度の高い守備を続け、このクォーターで島根のフィールドゴールを20本中5本成功に抑えることで先手を取る。第2クォーターは島根に走られ30失点と崩れるが、ハームタイムにしっかりとアジャストすることで後半はわずか32失点のみ。守備の立て直しに成功することで勝利をつかんだ。

この試合、千葉Jの堅守に貢献したのが今シーズン初出場の田代直希だ。9分39秒で2得点3リバウンドと際立ったスタッツを残したわけではないが、出場時間の得失点はチーム2位のプラス14とチームに良い流れをもたらした。

囲み取材の第一声で「大変、お待たせいたしました」と語った田代は、このように試合を振り返る。「第4クォーターの締めがすごく良かったと思います。第3クォーターまで10点くらい勝っていたのに、第4クォーターに崩れて逆転されてしまう試合があった中、今日は最後まで集中力を切らさずにできた印象です」

ちなみにマスクをしてのプレーに関しては、「違和感しかないです。締め付けられて肩というか首が凝る感じがします。上を向くと抑えつけられる感じでして、それで今日はシュートを外してしまいました(笑)」と、冗談を言いつつ慣れる必要があると明かす。

この試合でも田代は持ち味のタフなディフェンスでチームにエナジーを与えた。ただ、コヴァーチ体制となって、守備のやり方が変わったことにアジャストしている最中だ。「昨シーズンは、わりと守り方を僕に任せてくれたので結構好き勝手にプレッシャーをかけたり、引いたりすることをやらせてもらっていました。今はチームルールに則ったプレッシャーのかけ方をしないといけないのでそこに違和感もあり、経験を重ねていくことでプラスにしていきたいです。まだ、ヘッドコーチとお互いのことを理解しきれていない部分がある中、今できるパフォーマンスを発揮していくだけです」

「今やっているバスケットを信じ切ることが非常に大事です」

田代が欠場している間、千葉Jは他にマット・コステロ、ブランドン・ランドルフが揃ってインジュアリーリスト入りし、ルーク・メイとエルジー・ギルを急遽獲得するなどチーム編成に苦しんだ。その影響もあって黒星先行と出遅れてしまったが、田代は「人がいない状況で、みんな手探りで頑張っていて努力を否定することはできないです。本当にできることを一生懸命やっていて、ただ結果が伴わなかっただけです」と悲観していない。

そして「今やっているバスケットを信じ切ることが非常に大事です。今日の試合をきっかけにしてプラスの方向にどんどん持っていきたいです」と、今は結果が出ていなくともコヴァーチ体制の新しいやり方を貫くことの大切さを強調する。それは次のような考えを持っているからだ。

「チームが一つになれず、『ダメじゃん』という思いを抱えながらシーズンを終えてしまったら、何が一番問題だったのか明確にならないと思います。ヘッドコーチのやるバスケットがチームに合わなかったらコーチがいなくなるべきですし、コーチのやるバスケを信じきれない選手たちがいっぱいいた場合は選手を外すべきです」

「自分は、前に信じ切れずに後悔をした経験があります。疑ったところで良い意見は出てこないと思っていて、みんなバカになっていいのでまずは信じ切る。それがチーム一丸になることだと思います」

地に足がついている田代は、リーグ屈指の常勝チームだからこそ黒星先行が話題となる今のチーム状況にも「やっぱり目先の勝利を意識してしまうと焦ります。新しいチームなので、目の前の試合で全力を尽くして勝つことだけを考えてシーズンを歩んでいくことが大事だと思います」と語る。

そして最後に、改革を進めるチームで自分が担いたい役割を聞くと「キングになりたいですね……。これはふざけましたけど(笑)」という田代らしいユーモアのある前置きの後でこう続ける

「やっぱりチームが困った時は『田代』と信頼されて使われるようになりたい。昨シーズンはトレヴァー(グリーソン)とコミュニケーションをすごく密にとって僕のことをすごく分かってくれていたので、良い使い方をしてもらっていました。コヴァーチヘッドコーチとも良い関係を築いて、困った時は頭の中にパッと田代が出てくる存在になりたいです」

コヴァーチヘッドコーチの目指すスタイルが浸透するまでにはまだまだ時間がかかるだろう。その中で、信じ切ることの大切さを理解している田代は、チームが迷った時の羅針盤になる。これからの巻き返しへ向け、千葉Jに頼りになる仕事人が帰ってきた。