上田隼輔

守備力を評価され開幕から不動の先発に

10月17日、島根スサノオマジックは千葉ジェッツに78対97で敗れた。

序盤で先手を奪われた島根は、第2クォーターに持ち味であるトランジションからの得点で盛り返すが、後半になると千葉Jの堅守を崩すことができなくなり、その勢いを止めることができなくなった。この試合、島根は3ポイントシュート成功が35本中わずか7本と不発。さらにターンオーバーからの失点も18と多く、オフェンスからリズムを崩した。

島根の上田隼輔はフィールドゴール5本中3本成功と確率よくシュートを決めて7得点3リバウンドを記録。ファウルトラブルで不完全燃焼だったが、出場時間の得失点が10分以上プレーした選手の中でトップのマイナス2だったことが貢献度の高さを示している。

上田は敗因として自分のプレーを挙げた。「千葉ジェッツさんは瀬川琉久選手を起点に点を取ってきていて、僕の役割は瀬川選手や富樫勇樹選手を自由にプレーさせないことでした。それなのにプレッシャーをかけることができず、簡単に彼らにペイントアタックを許し、そこからキックアウトをされたりしてしまった。ジェッツさんはリーグ上位の得点力を持つチームで、しっかりと抑えないといけないとわかっていたのに守備の徹底力が低かったです」

本人も言及するように、島根にとって188cmのサイズと豊富な運動量を生かした粘り強いディフェンスを持つ上田が、相手の起点にプレッシャーをかけられなかったのは痛かった。ただ、見方を変えれば、これは上田が島根で主力の地位を確立していることの証でもある。1年前のこの時期はプロバスケ選手として活動できていなかったことを考えると、悔しさを感じられる状況にいること自体が上田にとっての大きな進歩だ。

上田隼輔

「自分が相手のエースについて引っ張れるように」

27歳の上田は、2021-22シーズンから富山グラウジーズに在籍。チームがB2に降格した2024-25シーズンはB1昇格プレーオフで7試合中6試合先発と主力の1人だった。しかし、昨シーズンは所属先が決まらず、長崎ヴェルカのユーススクールアドバイザー兼トップチーム練習生として開幕を迎え、11月末に島根と契約。当初はほとんど起用されなかったがシーズン終盤には先発も果たすなど指揮官の信頼を確実に得ていった。

そして今シーズンは、開幕からここまで全7試合に先発し、平均21分24秒出場で4.6得点、2.4アシストと自己最高のスタートを切っている。サイズとフットワークを生かした密着ディフェンスで大きな戦力となり、得失点ではニック・ケイの5.1に次ぐチーム2位の4.4を残している。

練習生からチームの主力へと大きなステップアップを遂げた歩みについて、上田はこう振り返る。「長崎は技術の高い選手が多く、自分のやろうとしていることが通用せず、強みも出せずにいました。気持ちが折れ、『いや、折れてはダメだ』と立て直す葛藤の日々でした。でも、サポートをしてくれる人たちのもと、諦めずに続けていくことが結果に繋がると信じてやり続けました。その結果、島根GMの広瀬健太さんが僕のことを見つけてくれました」

島根でも立ち位置を作るまでには時間がかかった。「苦しい時期が長くて、『上手くいかないな』と思う時もありましたが、がむしゃらにやり続けました。そしてシーズン終盤にケガ人が多くなった際、ディフェンスをピート(ペータル・ボジッチヘッドコーチ)が評価してくれて試合に出ることが多くなり、今スタメンで使ってもらえています。一番は周りの支えがあってこそで、自分だけの力ではないですが、自分の力を信じてやってきたことで今があると思います」

キャリアの危機を乗り越え、自己ベストのシーズンを送ろうとしている上田は、「これからもディフェンスに一番こだわりたいです」と話す。「自分たちが勝てている試合は、先制パンチで相手に先にタイムアウトを取らせる形が多いです。ディフェンスで相手のエースに圧力をかけ、相手に好きなバスケットをさせないようにすることが今の自分に与えられた役割です。オフェンスは岡田侑大さんやデクスター(デニス)が担っているので、ディフェンスでは自分が相手のエースについて引っ張れるようにやっていきたいです」

さらに上田は、「これからも過信はしないですが、自分の力を信じてやっていきたいです」と、さらなる飛躍に向けての意気込みを語った。「成長している部分はありますが、まだまだ課題も多いです。岡田さんやデクスターに対して相手がどんどんプレッシャーをかけてくるので、自分がディフェンスだけでなくオフェンスでも貢献できるかもチームの勝利に繋がってくると思います」

この試合、上田には尽誠学園の先輩である渡邊雄太と対戦する感慨深さもあった。「高校時代からずっと憧れの存在でした。ただ、試合が始まれば対戦相手なので『絶対に止めてやる』としか思っていなかったです。うれしかった反面、今回はやられてしまって悔しい気持ちもあります」

島根が次に千葉Jと対戦するのは来年の2月17日となる。進化を続ける上田が持っている力をフルに発揮できれば、リベンジのチャンスはより高まるはずだ。