文=丸山素行 写真=小永吉陽子

1on1から後手を踏まされ、劣勢を強いられる日本

イタリアに惜敗し、ベスト8進出を逃したU-19男子日本代表。9位-16位決定戦に回った日本はアジアのライバル、韓国と対戦した。

八村塁の3ポイントシュートで先制した日本は、ゾーンディフェンスを敷く韓国に対し、アーリーオフェンスでアウトナンバーを作り出して優位に立つ。三上侑希が1本、西田優大が3本連続で3ポイントシュートを沈めるロケットスタートを切り、第1クォーターを25-11とリードした。

だが第2クォーターに入り、韓国がマンツーマンに切り替えると日本の得点が止まる。激しいディフェンスで足を止められ、タフショットが増えていった。連携ミスやギャンブル的なパスでポゼッションを失い、課題のターンオーバーを連発。ディフェンスからリズムをつかんだ韓国にじわじわと追い上げられる。

35-32と3点リードで前半を終えるが、ハーフタイムを挟んでも第2クォーターの悪い流れを変えられない。開始2分30秒で35-36と逆転を許すと、その後は韓国の時間帯が続く。フィジカルを生かしたインサイドの1対1を止められずペイント内での失点が増え、ダブルチームに行けば冷静にいなされ、外から3ポイントシュートを射抜かれた。

オフェンスではドライブで崩しても、素早いカバーリングからブロックショットを連発される。ピック&ロールでズレを作ることができず、オフェンスセットに時間がかかってしまい、苦し紛れのシュートはリングに弾かれ続けた。杉本天昇がミドルシュートを決めたが、第3クォーター最初のフィールドゴールを決めるまでに6分30秒もの時間を費やした。

1on1から後手を踏まされ劣勢となった日本は、47-58と2桁のビハインドを背負って最終クォーターを迎えた。

第4クォーター、ツインタワーが躍動し大逆転

だが、日本はここから怒涛の反撃に出る。カギとなったのは八村とシェーファー・アヴィ幸樹の同時起用だ。フィジカル負けしない2人が韓国のインサイドへのアタックを断ち切ったことで、周りの選手もダブルチームに行かず、自分のマークマンに専念できた。その結果、ノーマークでシュートを打たれる機会はほぼなくなり、シュートチェックを受けた韓国のシュートは外れ続けた。

八村とシェーファーの同時起用はオフェンスでも良い作用を生んだ。シェーファーがインサイドを制圧し、オフェンスリバウンドからゴール下で得点。強力なリバウンダーが2人いることで西田と杉本のドライブも生きてくる。

残り4分35秒、八村のパスカットから西田の3ポイントシュートが決まり、63-62とついに日本が逆転する。その後も、杉本のドライブから八村のアリウープが飛び出すなど、攻守ともに韓国を圧倒。ファウルゲームを仕掛けられるも八村がフリースローをしっかりと決めていく。

こうして第4クォーターを30-6と圧倒した日本が、最終スコア77-64で大逆転勝利を収めた。

シェーファー「僕と塁でインサイドを支配できた」

指揮官のトーステン・ロイブルはシェーファーと八村の同時起用について「これまであまりうまく行かなかった。11点負けていて苦肉の策で、うまく行くか行かないかは賭けだった」と明かす。それでも「ここまでアンラッキーが続いていたが、今日はウチにツキが向いた」と笑顔を見せた。

八村は5試合連続ダブル・ダブルこそ逃したものの、両チームトップの21得点を挙げ、9リバウンド4アシスト3スティール2ブロックと攻守両面でまさにエースの役割を果たした。今大会では不調だったフリースローも12本すべてを成功させる好調ぶりだった。

逆転勝利の立役者となったシェーファーは、17分間の出場で10得点10リバウンド(6オフェンスリバウンド)のダブル・ダブルを記録。「ほぼ初めてのレベルで塁とあんなにプレーしたんですけど、ツインタワーとしてかなりできたと思います。お互いアメリカで身体作りをして、インサイドでは負けないので、僕と塁で中を支配できたのが良かったと思います」と満足気。「もう一回ダブル・ダブルをしたいです」と目標を口にした。

韓国に勝利した日本は9位-12位決定戦に進むこととなり、今夜ホスト国のエジプトと対戦する。