文=鈴木健一郎 写真=FIBA.com

息詰まる接戦、両チームのエースが真価を発揮

U-19ワールドカップは決勝トーナメントに突入。16ラウンドでイタリアと対戦した日本は、大接戦の末に敗れた。

西田優大の3ポイントシュートで先制した日本だが、その後はイタリアが得意とするスローテンポなゲームプランに持ち込まれる。それでも日本も集中したディフェンスを見せ、八村塁がリバウンド争いを制して互角の攻防に。セカンドユニットの時間帯には榎本新作がキレのあるドライブでイタリアを苦しめ、第2クォーター中盤からは榎本、八村を中心に怒涛のラン。最後は西田が3ポイントシュートを沈めて13-21から29-21と試合をひっくり返して前半を終える。

前半のイタリアは良いシュートセレクションで打ってはいたものの、ことごとくリングに嫌われていた。それが後半になると入り始める。というよりも、イタリアのこの年代のトッププレーヤーであるトンマーゾ・オシーリアが一人調子を上げ、得点を量産した。ミドルレンジのシュートが入らないと見るや、オシーリアは八村が待ち構えるインサイドへ攻め込み、巧みに得点を重ねていく。『超』が付くロースコアの展開で、エースに当たりが出たことは大きい。

日本も八村と西田を中心に攻守にまとまりを見せ、第4クォーター残り46秒で49-50と1点差まで詰め寄る。しかし、ここからオシーリアに得点を奪われ、ファウルゲームに持ち込むもフリースロー2本を決められて残り16秒で49-54と安全圏に逃げられてしまう。

ところがここで八村がモンスター級のプレーを見せた。強引な3ポイントシュートを決めて、再びファウルゲームに。相手が1本を落とし52-55となったところで、再び強引に持ち込んでクラッチスリーを沈め、残り2秒で55-55の同点に追い付いたのだ。

総立ちの日本ベンチ。波は日本に来ていたかに思われた。しかし、ロースコアゲームを得意とするイタリアは接戦でこそ勝負強さを発揮するチームだった。スローインからのリスタート、オシーリアが身体を流して八村のブロックショットをかわしながら、角度のないジャンプシュートを沈める。追い詰められた状況で、しっかりとエースにシュート機会を託し、そして決めた。

残り時間のない中、日本は杉本天昇が超ロングシュートを狙うも届かず、試合終了のブザー。

大接戦を演じるも及ばず、順位決定戦に回ることになった日本。明日は休養日で、日本時間7日(金)夜にリトアニアvs韓国の敗者を相手に、9~16位の順位決定戦を行う。