ニコラ・ブーチェビッチ

「キャリアを終える前に本当の成功を経験したい」

ニコラ・ブーチェビッチがマジックと1年390万ドル(約5億9000万円)のベテラン最低保証額での契約を結び、9シーズンを過ごした古巣に復帰した。会見でブーチェビッチは「勝つチャンスがあるチームで、家族にとって良い場所であることが条件だったから、悩むことはなかった」と語る。

「僕はキャリアの長い時期をここで過ごし、実績も残した。今もチームとは深い繋がりがある。そして今のマジックは非常に強力で、勝てるチャンスがある。移籍した後も自宅はずっとオーランドにあるし、子供たちもこの街に馴染んでいる。マジックが僕をどう評価して、どんな役割を与えるかは確認したけど、あとの交渉は簡単だった。いつか適切なタイミングがあれば、『正しい形』で復帰したいとずっと思っていた。今がまさにその時なんだ」

ブーチェビッチは2011年のNBAドラフト1巡目16位でセブンティシクサーズに指名され、その1年後にドワイト・ハワードが絡む大型トレードの一部としてマジックに加入した。在籍8年半で2度のオールスターに選出され、17.6得点、10.8リバウンドを記録する看板選手として活躍した。2020-21シーズン途中にブルズへ放出され、今年2月にセルティックスへ移籍。昨シーズンはブルズとセルティックスとの合算で64試合に出場し、15.1得点、8.4リバウンドを記録している。

ブーチェビッチが加入した2012年からマジックは再建に入り、それまで続いてきたプレーオフ進出が途絶えた。彼の在籍期間で2度のプレーオフ進出を果たすも、いずれも1勝を挙げたのみでファーストラウンドで敗退している。

2021年3月に彼を放出したことで再建へと舵を切ったマジックは、そこから数年がかりで強力なチームを築いたが、3シーズン連続でファーストラウンド敗退に終わり、ジャマール・モズリーを解任。スパーズでアソシエイトヘッドコーチを務めていたショーン・スウィーニーを新たなヘッドコーチに据えて『プレーオフで勝てるチーム』になる挑戦を続ける。

この会見は彼の母国モンテネグロからのオンラインで行われた。現地7月5日のモンテネグロvsルーマニアの試合に合わせ、彼のモンテネグロ代表での引退セレモニーが行われた。昨年のユーロバスケットを最後に代表引退を発表していた彼は、ファンから拍手で称えられ、「国を代表できて光栄だった。ずっとプレーしていたかったけど、今は新しい世代が活躍すべき時だ」とブーチェビッチは涙をこらえて挨拶している。

しかし、マジックでの彼はまだまだ挑戦を終えるつもりはない。「現役引退は考えていない。契約としては一年一年が勝負になるけど、僕が良いプレーをしてチームも結果を残し、ここで数年残ることができたらと思う。セルティックスではベンチスタートを受け入れて、ここでも同じ形になるかもしれないけど、僕のプレースタイルは身体能力に過度に依存するものじゃないから、まだまだ働ける自信はある」と彼は言う。

ブーチェビッチに期待されるのはかつてのエースではないが、若いチームを支える経験豊富なベテランとして、声を出すリーダーとしての役割が求められる。そして彼自身、自分の存在がマジックを『プレーオフで勝てるチーム』へと引き上げることを望んでいる。

「僕はプレーオフでファーストラウンドを突破したことがない。マジックも長くその状況にある。その壁を一緒に乗り越え、さらなる成功をつかみ取りたい。今のマジックは良い選手が揃っているだけでなく、勝つために正しいやり方で取り組む姿勢に好感を持っていた。対戦するたびに苦労させられたよ。そんな若いチームに自分の経験がプラスになればと思っている」

「年齢を重ねるにつれて、チームとしての成功を願う気持ちが強くなる。若い頃に経験できれば良かったけど、僕は常にそれを追い求めている。僕は本当の意味で優勝を狙えるチームにいたことがない。セルティックスは良いチームだったけど、期待通りにはいかなかった。キャリアを終える前に本当の成功を経験したい。今回のマジック復帰は、その絶好の機会だと思っている」

「今回の復帰が決まって、多くの人が『自分の家に戻れるのは素晴らしいことだ』と言ってくれた。妻も子供たちも大喜びで、マジックの関係者からもたくさん連絡をもらったし、ファンも歓迎してくれる。プレーで恩返しをするつもりだ」