アルバラードとシャメットの契約延長には成功

NBA優勝を果たしたニックスは、ホセ・アルバラードに3年1460万ドル(約22億円)、ランドリー・シャメットに4年2400万ドル(約36億円)の契約を与えて引き留めた。

アルバラードはブルックリン生まれのニューヨーカーで、シーズン途中にペリカンズから加入し、持ち前のリーダーシップですぐにニックスに溶け込み、ベンチから運動量とボールへの鋭い嗅覚溢れるディフェンスを提供。出場機会は限られたが、NBAファイナルでエースのジェイレン・ブランソンからプレーメークの負担を取り除く大仕事をやってのけた。来シーズンのプレーヤーオプションを破棄した上で、ニックスと新たな長期契約を結んだ。

シャメットは8シーズンで6チームを渡り歩いたジャーニーマンで、ニックス加入1年目の昨シーズンは出場機会が限られたが、指揮官交代によりベンチユニットの役割が増す中で存在感を発揮。今回のプレーオフでは3ポイントシュート成功率47.5%と、チームが作り出すチャンスを極めて高確率で決め、それでフロアを広げてチームを助けた。他にもっと好条件のオファーがあったというが、自分の生かし方を分かっているニックスへの残留を選択した。

ニックスは先発の5人が契約を残しているものの、ベンチから出るロールプレーヤーが個々の個性を発揮したことがプレーオフを勝ち抜く重要な要素だったことを考えると、彼らを引き留めることは大事なポイントだった。

それでも、ミッチェル・ロビンソンは残せなかった。4年6000万ドル(約90億円)の契約が満了となってフリーエージェントとなった彼は、3年4740万ドル(約71億円)をオファーしたセルティックスへの移籍を決めた。

ロビンソンはタウンズに続くセンターの2番手。レギュラーシーズンで19.6分だった出場時間はプレーオフになって13.9分まで落ち込んでおり、3ポイントシュートどころかジャンプシュート自体が打てず、今回のプレーオフでのフリースロー成功率は29.3%と壊滅的な数字で、スタッツで判断するなら彼を引き留める理由はない。しかし、華やかなニューヨークのチームでありながらハードワークを身上とするニックスの『泥臭さ』を体現し、チームが弱かった時期からそれを一貫して続けてきたロビンソンは、ファンから圧倒的な支持を受ける存在だった。

今回のプレーオフでも彼は右手の小指を骨折するも、自分の仕事をやり通した。スパーズと対戦したNBAファイナルの最後、彼が必死に手を伸ばしたオフェンスリバウンド奪取が優勝を決定付けるシーンとなったことに、ニックスファンは運命を感じずにはいられなかったはずだ。

ファン感情からすれば、ロビンソンこそ真っ先に大型契約を与え、これまでの労に報いたい選手だった。しかし、ニックスのオーナー、ジェームズ・ドーランは優勝パレードの前日に「NBAには自殺行為と呼ぶべきことがいくつかある。その一つがセカンドエプロンに踏み込むことだ」と発言している。ドーラン自身はチームの低迷期にも大金を投じてきたが、今はセカンドエプロンを超えれば補強に制限がかかるなどソフトキャップでもペナルティが重くなっており、その選択肢は採れなかった。

ロビンソンはニックス退団に際してSNSでファンに別れの挨拶を送っている。「この8年間は僕の人生のハイライトだった。この旅に感謝してもしきれない。いろんな感情が渦巻いているのは分かる。僕も同じ気持ちだ。でも、すべてが始まった場所への愛はずっと変わらない。愛しているし、恋しくなるだろう。一度ニックスなら永遠にニックスだ」

この投稿に、ジェイレン・ブランソンやカール・アンソニー・タウンズ、ミケル・ブリッジズが即座にレスを返したことは、ニックスの結束力の強さをあらためて物語る。

それでも、素晴らしい旅が一区切りを迎え、すぐに次の挑戦が始まる。ロビンソンはジェイレン・ブラウンの放出で大幅な戦力ダウンとなったセルティックスを支えなければならない。ニックスはセンターの3番手だったアリエル・フクポルティもフリーエージェントでセブンティシクサーズへと去った。セルティックスとシクサーズは連覇を狙うニックスにとって強敵となるだろう。優勝の余韻にも、功労者が去る悲しみにも浸っていられない。残ったわずかなキャップスペースで戦力を補強しなければならない。