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ウィギンズ、タウンズ、バトラーが揃ったウルブズ

6月22日、NBAドラフト2017がまさに始まろうとするタイミングで、ブルズとティンバーウルブズとの間でジミー・バトラーを含む大型トレードが成立した。ウルブズはザック・ラビーンとクリス・ダン、そしてドラフト全体7位で指名したアリゾナ大学のラウリー・マーケネンとの交渉権をブルズに譲渡し、ブルズからバトラーと、同チームが全体16位で指名したクレイトン大学のジャスティン・パットマンとの交渉権を獲得した。

NBAではフランチャイズプレーヤーがトレード要員になるケースもしばしば起こるが、その場合は相手方のエース級を見返りとして獲得するもの。しかし今回のトレードの内容を見た場合、ブルズが損をした形であることは明白だ。

若手中心のウルブズに欠けていたのは、チームをまとめ、試合をコントロールできる経験豊富なリーダーだった。バトラーはNBAで6年の経験を持ち、年々勝負強さも増している。しかも、ウルブズを率いるトム・ティボドーは2015年までブルズの指揮官を務めており旧知の間柄。アンドリュー・ウィギンズ、カール・アンソニー・タウンズというフランチャイズプレーヤーを失うことなくバトラーを獲得したウルブズは、昨シーズンの31勝(51敗)から大幅に勝利数を増やす見通しが立った。

一方のブルズはどうだろうか。ラビーンは将来性のある若手だが、今年2月には左ひざ前十字靭帯断裂の重傷を負い、来シーズン序盤戦は欠場の見込み。ケガが完治すれば楽しみな存在ではあるものの、ダンクコンテスト2連覇の跳躍力を取り戻せるかどうか懸念が残る。来シーズンが2年目のダンもポテンシャルこそ高いが、ティボドーの期待には応えられなかった。

この通り、エースのバトラーの見返りとしては物足りない交換条件。それを承知でトレードを行ったということは、ブルズは今後数年ロッタリーに回るリスクを承知で再建モードに切り替えたことを意味するのだろう。

再建に舵を切った以上、ウェイドの退団も確実に

今後注目されるのは、来シーズンのプレーヤーオプションを保持しているドウェイン・ウェイドの去就だ。ウェイドは先日、ブルズのフロントと今後について話し合いを持ったと伝えられている。その時点では前向きな話し合いになったようだが、球団が再建モードに切り替えた以上、優勝を目標に掲げ、最低でもプレーオフ進出を望むウェイドがフリーエージェントになるのはまず間違いない。昨夏にはバトラー、ウェイド、ラジョン・ロンドというビッグ3を結成し大きな期待を集めたチームが、わずか1年後に解体という結果になってしまった。

バトラーの移籍により、西カンファレンスの競争はさらに激化するだろう。逆に東カンファレンスは、キャバリアーズ包囲網の一角だったブルズが早くも脱落。カイル・ラウリー、ポール・ミルサップら大物フリーエージェント選手の動向次第でこれから情勢も変わるだろうが、古豪ブルズがプレーオフの舞台に戻ってくるのは、しばらく先になりそうだ。