ニック・ナース

相次ぐワールドカップ出場辞退者に賛否

今月末から中国で開催されるFIBAワールドカップを前に、多くのNBA選手が出場を辞退した件が話題になっている。

辞退した背景には、2019-20シーズンへの準備に集中、所属チームと大型契約を結んだことによる責任、休養を優先など、選手によって様々。メダルと同時に2020年の東京五輪出場権を争う大会ともなるため、激しいプレーでケガをするリスクを回避するという目的もあるだろう。

また、ワールドカップの翌年にオリンピックが開催される今回のような変則日程の影響もあるはず。今大会の出場は見送っても、東京五輪出場に関しては意欲的なスーパースターは少なくない。

カナダ代表でもNBA選手の代表参加辞退が相次いだ中、招集に応じたヒートのケリー・オリニクが、セネガルとのエキシビションゲームで膝を負傷するアクシデントが起こった。

オリニクは、ドライブを仕掛けた際に滑って転倒し、右膝を強打。この直後にプレーが止まり、オリニクはロッカーに下がった。幸い、膝の打撲で済み、1週間程度の休養で回復する見込みで、ワールドカップ出場には問題ないと見られている。

オリニクの負傷により、NBAスター選手の代表参加辞退に関する議論は再び熱を帯びるだろう。カナダ代表のヘッドコーチ、ニック・ナースは、この問題について「選手たちはキャリアで功績を残すために代表でプレーしている」と、『TSN Sports』とコメント。そして、NBAで指揮を執るラプターズから代表に招集されたカイル・ラウリーを例に挙げ、次のように続けた。

「(代表参加を辞退する選手続出の問題について)何と言えばいいのか分からないが、これだけは言える。アメリカだろうと、カナダだろうと、セネガルだろうと、選手たちはキャリアで功績を残すために代表でプレーしている」

「その代表的な例は、ウチのカイル・ラウリーだ。彼はオールスターに5回も選出されていて、ワールドチャンピオンになって、金メダルも獲得している。手術を受けた後だというのに、彼は代表でプレーしたがっている。それだけの気持ちがハートにあるか、ないかの話だ」

「それに、試合でも、実戦形式の練習でも、練習でもケガをしてしまう可能性はある。これもバスケットボールの一部だ。(オリニクの)ケガが重傷ではなくて良かった。ただ、重傷のケースは滅多に見られない。近年で記憶にあるのは、ポール・ジョージのケースくらいだろう」

「私は、代表でプレーしている選手を称えたい。彼らはフープが大好きで、カナダのためにプレーしてくれている。プライドとハートを持ってプレーしてくれている。私に言えるのは、これくらいだ」

先月に左親指の手術を受けたばかりのラウリーは、8月9日に行なわれたアメリカ代表のエキシビションゲームには出場しなかった。「月曜に医師とあって経過について診断を受ける」と、試合中に『NBA TV』に語ったラウリーは、手術直後にもかかわらず代表参加を決めた理由を明確に答えた。

「自分たちのためだけにやっているわけではなくて、国のためにプレーしている。アメリカ出身の誰もが、世界最高のレベルで母国を代表してプレーすることを誇りに思っている。それに、世界からも自分たちが最高のレベルにあることを求められている。これからも圧倒的な存在であり続けるために、自分は代表に力を尽くしているんだ」

スーパースターたちの代表参加辞退に関しては、様々な意見があるだろう。現状を変えるためには、母国を代表してプレーする価値を高めていくしかない。