アイザイア・ジョー

「それができるのは、このチームの人間性のおかげだ」

サンダーはカンファレンスファイナルでスパーズに敗れ、連覇の夢を果たせずにシーズンを終えた。それでも『GAME7』までもつれた戦いはどちらに転ぶか分からない名勝負で、敗れたサンダーにとっても『やりきった結果』ではあった。ケガ人が出てプレーオフの途中でローテーションを変更しながらも、多くの選手が自分に課された役割を全うしたチーム一丸の戦いぶりは、敗退の痛みをいくらかでも和らげるものだった。

もっとも、全員がハッピーとはいかないのがバスケだ。アイザイア・ジョーはサンダーに来て4年目、ベンチから出るシューターとして年々信頼を積み上げてきた。今シーズンは71試合に出場し、21.2分の出場で3ポイントシュート成功率42.3%で11.1得点とキャリア最高の活躍を見せた。しかし、プレーオフでは出場時間も得点も半減。スパーズとの『GAME7』では出場機会がなかった。

「選手として悔しい気持ちは間違いなくあった。でも戦っている間は、『チームのために自分に何ができるか』に集中して、チームメートの背中を押そうとしていた」とジョーは語る。

プレーオフではジャレッド・マケインのブレイクがあり、それによりジョーは出番を失った。シュート力だけならジョーだったはずだが、アジャイ・ミッチェルとジェイレン・ウィリアムズをケガで欠くチーム状況を受け、シュートだけでなくドライブやパスでプレーを組み立てられるマケインが選ばれた。

ジョーもマケインと同じように、セブンティシクサーズにドラフトされてサンダーに移って来た選手だ。違うのはマケインがドラフト1巡目指名のスター選手で、トレードでサンダーに来たこと。ジョーは2020年の2巡目49位指名。シクサーズは2年で解雇され、まだ再建中だったサンダーに拾われた。

先の見えない状況を経験し、そこから這い上がってきただけに、シーズンの重要な時期にローテ外に弾き出されることに焦りがないわけがない。それでもジョーはサンダーの文化に完全に染まっている。一人ひとりがエゴを出さず、チームを最優先に考えることが、最終的に全員の幸せに繋がると信じている。

「それができるのは、このチームの人間性のおかげだ」とジョーは言う。「選手に限らずフロントからコーチ陣まで、全員がチーム最優先で動く。ここにはエゴを押し出す人も、プライドを脇に置けない人もいない。それは僕が来る前からの伝統だと聞いている。難しいことのように思えるだろうけど、正しい人が集まるグループなら可能になる」

ヘッドコーチのマーク・ダグノートは、ジョーのような選手をローテーションから外す決断について「私の仕事の中でも一番最悪なことだ。決して軽くは考えられない」と語る。

「もし試合前に誰かが来て『今日は君じゃなく別のコーチがチームの指揮を執る。そのほうがフィットするから受け入れろ』と言われたらどんな気分になるか想像もできない。それを自分がやるんだ。チームにとってのベストを考えて決断するが、その判断は往々にして主観的なもので、間違っているかもしれないのに、選手のキャリアを左右しかねない。私にできるのは、正直で公平であること。決してその責任を軽くは考えないことだ」

そんな指揮官ダグノートへの信頼をジョーはこう語る。「何事も包み隠さない人で、僕らが迷う余地を残さず、すべてをはっきりさせてくれる。チームが直面する問題のすべてに対して、彼が回答を持っているわけじゃない。でも、可能な限り多くのアイデアを出してくれる」

そんな指揮官の決断で出場機会は減ったが、ジョーはそれを受け入れた。必要以上にそこに意識を引っ張られず、今シーズンに自分があるべき姿に成長できたことを語る。「毎年新しい方法で自分のスキルを高めていく。より激しく動き、シュートに持ち込むフットワークを増やし、より多くのシュートを打つことが今シーズンの目標だった」

「シューターとしての僕のスキルがいつ必要とされるかは分からない。求められる時もあれば、そうでない時もあるけど、そのどちらでも自信を持ち続けなければならない。結局のところ、自分を信じられるのは自分だけだ。それが自分の番号が呼ばれた時に『準備できているかどうか』のカギになる。自信を持ち続け、モチベーションを保ち、努力し続ける。それが僕の挑戦だ」