ミケル・ブリッジズ

「すべてを出しきろうという気持ちでプレーしている」

NBAファイナル第2戦、ニックスはエースのジェイレン・ブランソンがクラッチタイムに勝負強さを見せたものの、試合を通してはフィールドゴール25本中7本成功の20得点、6アシストに対して4ターンオーバー、38分出場した時間帯の得失点差-10と苦戦が目立った。それでも接戦を勝てたのは、アップダウンの激しい試合展開の中で9人ローテの全員が力を発揮したからだ。

特に大きかったのは第3クォーター終盤、カール・アンソニー・タウンズがファウルトラブルでベンチに下がった時間帯に、スパーズに勢いが出始めたところをセカンドユニットで押し返したことだ。この時、ニックスは予定されていたローテーション通りにブランソンを休ませ、先発はミケル・ブリッジズとOG・アヌノビーの2人だけ、マイルズ・マクブライドとランドリー・シャメット、ミッチェル・ロビンソンというラインナップを使い、その後はアヌノビーを下げてホセ・アルバラードも投入。この時間のオフェンスをブリッジズが引っ張った。

ニックスを率いるマイク・ブラウンは「試合を通じて激しい攻防が続き、相手のランを許して心が折れそうになる場面もあったが、選手たちはタフに戦い続けた。どの時間帯も常に誰かが代わる代わるチームを引っ張った」と、激しい試合展開を振り返る。

「あの時間帯はミケルが攻守を引っ張ったし、OGのドライブも効いていた。終盤にはミッチ(ロビンソン)の活躍もあった。ランドリーはシュートが好調だったし、デュース(マクブライド)もベンチから価値ある得点を決めた。本当に多くの選手が貢献した。選手たちが自分のスタッツを気にせず、互いのために犠牲を払っているからできることだ」

ブリッジズはブランソンと同じ20得点を記録。ブランソンとタウンズがチームを引っ張る間はサポートに回り、自分の力が必要とされればエースムーブを見せた。第3クォーター終盤の時間帯をブリッジズは「コーチからの指示は『とにかくディフェンスで相手の勢いを止めろ』だった。そこから攻めに転じる時は周囲が僕を信頼してくれたし、僕もコート上の全員を信頼して、ただ正しいプレー選択をしようと心掛けた」と振り返る。

「ここが本当の勝負どころだから必死だよ。ここまで来たからには、最後まで勝ち残った1チームになりたい。このあとは10月まで試合がないんだから、すべてを出しきろうという気持ちでプレーしている」

ブリッジズのキャリアを飛躍させたのは、デビュー3年目の2020-21シーズンだった。この時はサンズの一員としてNBAファイナルに駒を進めるもバックスに敗れている。「あの経験から、NBAファイナルでどれだけ必死にやらなきゃいけないかが分かっている。みんなに声を掛けて、冷静さを保ちつつも死に物狂いで戦うというマインドを作っているんだ」

彼がフォーカスするのは全力を出し尽くすこと、正しいプレーを選択することの2つだけ。シュートが決まるかどうかは気にしていない。大事な時間帯にシュートを決めた秘訣を聞かれても、彼は淡々とこう語るだけだ。「チームメートとコーチが僕をその場所に置いてくれた。ボールが僕のところにやって来て、僕は正しいプレーを選択しようとした。本当にそれだけなんだ」

そんなブリッジズをジョシュ・ハートは「いくら褒めても足りない」と評する。「でも、誰も驚いてはいない。これがミケルという選手だからね。大事な場面で挑戦することから逃げない『勝者』なんだ」

ハートはファウルトラブルで出場18分のみ、無得点に終わったが、チームが勝てば個人成績は気にしない。「初戦を落としたスパーズがすさまじいエネルギーで来るのは分かっていたから、そこに負けないためにフィジカルに行く必要があった。ちょっとフィジカルすぎたかもしれないけど、これでOKだよ(笑)」とハートは言い、こう続けた。

「2勝0敗でニューヨークに戻るけど、僕たちの中では『0勝0敗』だ。相手はさらにすさまじい勢いで来るだろうから、2勝している意味なんてないよ。僕らはもっと強く、もっと良いプレーをしなきゃいけない。その覚悟で臨むだけだ」