
両ポイントガードへの対応が試合展開を左右する
ジェイレン・ブランソンがエースとして名実ともにニックスをファイナルまで引き上げたのに対し、ディアロン・フォックスはケガに苦しみながら、得点ではなくチームオフェンスをコントロールすることでスパーズのファイナル進出に貢献しました。このファイナルは、対照的な役割を担うポイントガードの顔合わせになります。
ブランソンは身長188cmながらフィジカルの強さとフェイダウェイの上手さで得点を積み上げてきました。左右への細かい切り返しからのドライブでディフェンスにコンタクトし、重心を後ろに下げさせての高いアーチのシュートを決めてきます。このスタイルでタッチをつかむと、タフショットになっても関係なく決め続けるのが特徴です。
そんなブランソンがプレーオフで最も苦戦したのは、シュートを止めにくるタイプのディフェンダーではなく、フィジカルコンタクトに強いホークスのダイソン・ダニエルズでした。フェイクを駆使して抜けば得点できたものの、フィジカルで優位を作れないためジャンプシュートに踏み切るタイミングをつかめず、ブランソンらしい得点パターンに持ち込むのに苦労しました。
しかし、シリーズの途中からカール・アンソニー・タウンズにボールを預け、自らはスクリーナーになるオフボールプレーから攻撃を組み立てることでマークを外す形が機能しました。セブンティシクサーズやキャバリアーズ相手にも同じようなプレーを増やし、効果的に得点を奪って連続スイープでのファイナル進出に繋げています。
実際、ニックスでの4回のプレーオフ進出において、今シーズンが最もフィールドゴールアテンプトが少なく、自らが囮になってのプレーが増えています。これでニックスは大量得点での快勝を重ねており、ブランソンが自分で点を取りにいかないことでニックスのオフェンスの脅威は増したと言えます。
一方のフォックスは、そもそも自らのアタックではなくチームメートに攻めさせることでオフェンスを構築していきます。ギブ&ゴーでディフェンダーを動かし、狭いスペースから広いスペースへとパスを展開し、自らはコーナーでのシューター役でストレッチさせていきます。フォックス自身が積極的にボールに絡まなくても、フォックスがいることでスパーズのオフェンスがスムーズに機能しているシーンは数多く見られています。
その上で試合終盤にはスピードを生かした突破からジャンプシュートに持ち込むクラッチの得点も強みです。ただ、このプレーオフでは足首の捻挫の影響で、スピードもシュートタッチも悪く思うようなレベルではありません。
特にサンダーとのカンファレンスファイナルは、ケガの影響で最初の2試合を欠場し、復帰してもシュートを打っただけで顔をしかめるなど痛みに耐えながらのプレーを強いられました。それでも、言い換えればフルパワーでプレーしなくてもチームに貢献できており、激しいプレッシャーディフェンスに晒されてもミスをせず、オフェンスを落ち着かせるフォックスらしい持ち味を発揮できています。
スパーズのディフェンスにとってブランソンは必ず止めなければいけないターゲットですが、警戒しすぎるとニックスはチームオフェンスで得点を重ねてきます。逆にニックスのディフェンスにとってフォックスの優先順位は高くありませんが、NBAカップ決勝では起点となるフォックスを潰すことが勝因になりました。両ポイントガードへの対応は試合展開を大きく左右します。