川崎ブレイブサンダース

「苦しい時にボールを預けられる選手が出てこなかった」

Bリーグ2025-26シーズンは、レギュラーシーズンの勢いそのままに長崎ヴェルカの優勝で幕を閉じた。現行のフォーマットは今シーズンが最後で、新シーズンは8億円のサラリーキャップ制度を導入し、戦力均衡を推し進める新たな枠組みの『Bプレミア』がスタートする。

この新たなステージで巻き返しを図りたいのが川崎ブレイブサンダースだ。Bリーグ誕生前、NBL最後のシーズンの王者だった川崎は、Bリーグ初年度でもファイナル出場を果たした。また、2021年、22年と天皇杯連覇を達成するなど、リーグ屈指の強豪と呼べる結果を残し続けてきた。

しかし、長年チームを支えてきたニック・ファジーカスが2023-24シーズン終了後に引退すると、チームは急激に失速。ファジーカス在籍時はすべて勝率5割以上だったのが、ここ2シーズンは18勝42敗、16勝44敗とリーグ下位に沈んでいる。

栄枯盛衰はどのチームにも訪れるものだが、開幕から低空飛行で上位争いに全く絡めなかったこの2シーズンに失望しているファンも少なくはないはず。ホームゲーム最終戦後に行った取材(2026年4月22日)で川崎の北卓也GMは「ファンの皆さんの期待に応えられないシーズンだったと思います。ネノ(ギンズブルグ)ヘッドコーチでうまくいかず、シーズン途中から(勝久)ジェフリーに変わりました。成績不振によって、シーズン途中にヘッドコーチを変えたのは初めてのことで、そういった部分も含めてうまくいかなかったです」と今シーズンを振り返る。

そして、様々な要素が絡んでくる中でも、次の点を課題として挙げる。「ベテランメンバーがすごく頑張ってくれたのはチームにとって救いでした。ただ、試合を見ていてもコート上のリーダーがいない、苦しい時にボールを預けられる選手が出てこなかった。ここが苦しいゲームが続いた大きな理由だったと思います」

「新たに強いチームを作るには、若手を育てていかないといけないところですが米須(玲音)、山内(ジャヘル琉人)とケガで出られない時期が多く、そこは想定と違いました。故障から復帰して、試合にどんどん絡んでいくことで成長できた部分はあったと思います。ただ、例えば困った時に確固たる中心選手がいると、その人に頼って相乗効果で成長していけるところもあるのですが、そういう面でも苦しかったところはあります」

川崎ブレイブサンダース

「カルチャーを体現できる選手が少なくなっている」

今の川崎は圧倒的な存在だったファジーカス引退後の再建期だが、チームの中心となる若手を育てるのは簡単なことではない。Bリーグ開幕前の東芝時代から積み上げてきたカルチャーを大切にしつつ、時間がかかることを受け入れてじっくりチームを再構築するのも一つの選択肢だ。

しかし、このクラブの考えはそうではない。「中心メンバーが変わっていく時、低迷することは絶対にあります。ただ、その時期が短ければ短いほど良いです。選手の大半が加入してから引退するまで在籍する実業団時代でしたら、成長する姿を見守っていく雰囲気もありました。ただ、今はプロとして何よりも勝利が最優先事項です」

この2シーズンの川崎は、結果が示すように勝ち続けてきた以前のようなプレーを見せられていない。これまで培ってきたカルチャーや伝統のスタイルが失われていないか気になるところだが、北GMは「なくなったとは思っていないですが、それを体現できる選手が少ないところはあります。(ずっと在籍している)篠山(竜青)や長谷川(技)は無意識に体現できますが、若い選手たちはまだ理解しきれていないです」と語る。

すでに川崎の今シーズンのロスターの去就は明らかになっている。篠山、長谷川とチームの継承すべき伝統を熟知するベテラン、米須に山内と未来の担う若手ら日本人選手の多くは残留した。一方で、外国籍と帰化/アジア枠の4人はすべて退団と、大きなテコ入れを実施する。新シーズンではオン・ザ・コートフリーとなる中、この4枠でどんな選手を獲得するかが大きな鍵となってくるのは間違いない。

その中でも川崎というクラブが大切にするのは、能力に優れるだけでなくチームとしての一体感を大切にできる選手だ。「1人のすごいキャリアのある選手が来てすぐ勝てるかと言ったら、そんな簡単ではないと思っています。いくら高い能力を持っていてもチームとしてフィットしないといけない。今シーズン、本当に何が足りなかったのか、何でうまくいかなかったのか、その原因を突き詰めていかないといけないです」

そして、「今は80点以上のゲームが大きく増えてリーグ全体としてオフェンシブになってきています。それでも最終的にはディフェンスの良いチームが勝っています。やはりディフェンスの強度、最後までやり続ける粘り強さは必要です」と、川崎らしい堅守の復活を大切にする。

このまま低迷が続くか、復活の狼煙を上げることができるのか。Bプレミア初年度の川崎は大きな正念場を迎える。復活へどんな陣容で臨むのか、ファンが大きな期待を持って新メンバーの発表を待っている。