冷静沈着にコミュニケーションを取り、相手のミスを突く
昨年に現役を引退したコービー・ブライアントが2016-17シーズンを席巻しているウォリアーズの強さの秘密に関する『The Golden Democracy』という映像作品を自身のウェブサイト上に公開している。
Is there an answer to GS’s democratic system? Catch the sequel to Canvas: The Golden Democracy tomorrow at 830pmEST on ABC. @ESPNNBA pic.twitter.com/0UPh2ocOi1
— Kobe Bryant (@kobebryant) 2017年6月8日
コービーは、チームでボールを回す『チーム・ボール』スタイルでのプレーをNBAの全チームが望んでいると前置きした上で、ウォリアーズのプレーを分析。中でもコービーが強調したのは、ドレイモンド・グリーンがボールを保持した際、オフ・ザ・ボールの味方の動きだ。
グリーンは自らプレーをクリエイトするわけではないが、チームメートの動きを冷静に眺める。この時、他の4選手が『アタック・モード』に入っており、オフ・ザ・ボール状態の4人がクリエイトして、グリーンからボールを引き出すと指摘する。
また、大観衆が大きな声援を送り続ける中でも、攻守ともに冷静沈着であり続けることも付け加えた。コミュニケーションが円滑だからこそ、誰がスクリーンを張り、誰がスクリーンを抜け出し、誰がスクリーンのヘルプに入るかなど、一つひとつのプレーを高い精度で決められる。
対戦相手からすれば、ウォリアーズの素早く正確なオフェンスへの対応はどうしても後手に回ってしまい、本来のディフェンスの形を保てなくなる。さらに、その攻めに対応するにも、速いペースを継続させるウォリアーズに付いていくだけで心身ともに疲弊してしまい、48分間も続けられないとコービーは解説している。
ウォリアーズには個人で打開できるケビン・デュラント、ステフィン・カリー、クレイ・トンプソンというリーグ屈指のスコアラーが揃っているものの、個の力に依存しない。ウォリアーズのオフェンスの根幹をなすのはコミュニケーションで、高いレベルでの意思疎通がなければ威力は半減してしまう。
お互いのエゴを捨て去り、チームファーストを突き詰めるスタイルがベースにあるからこそ、そのケミストリーを現在のレベルにまで昇華させられた、というコービーの主張は分かりやすい。
6月9日に行なわれたキャバリアーズとのNBAファイナル第4戦には116-137で敗れ、前人未到16-0での完全優勝こそ逃したが、依然アドバンテージを保持していることに変わりはない。12日にホームに戻り行なわれる第5戦でも、円滑な連係から相手のミスを徹底して突き続ける『ウォリアーズ流』が見られるはずだ。