テレンス・シャノンJr.

「アグレッシブに、そしてディフェンスでは注意深く」

3年前のNBA王者、ナゲッツを撃破したのはティンバーウルブズだった。ニコラ・ヨキッチを中心とする華麗なバスケを破壊するフィジカルかつ執拗なウルブズのバスケは、ナゲッツに対して相性が良い。しかし今回のシリーズでは、ドンテ・ディビンチェンゾがアキレス腱断裂の大ケガを負い、アンソニー・エドワーズも膝を痛めて戦線離脱。この2人がケガをした第4戦はアヨ・ドスンムの43得点で勝ちきったものの、続く第5戦ではナゲッツに敗れていた。

こうして迎えた第6戦では、ドスンムもふくらはぎ痛で欠場。最近のNBAではふくらはぎ痛からアキレス腱断裂に繋がるケースが多く、勝てばシリーズ突破、負ければ敵地での『GAME7』に持ち込まれる試合でも、ドスンムに無理はさせられなかった。

使える選手が8人しかいない状況で、先発に抜擢されたのは2年目のテレンス・シャノンJr.だ。レギュラーシーズンでも先発は3試合しか経験しておらず、このプレーオフではディビンチェンゾとエドワーズがケガをするまでプレータイム自体がなかった。第4戦ではアクシデントを受けての急な出場で持ち味を発揮できず。第5戦でも15得点は挙げたものの、ディフェンスの難を突かれる場面が多く、良い仕事ができたわけではない。地元記者からは「シャノンJr.をプレーオフの試合で起用することに無理があるのでは?」という懐疑的な声も出ていた。

これに反発したのがヘッドコーチのクリス・フィンチだ。シャノンJr.の実力不足という見方を否定し、チャンスを与えた上で成長すればいいと反論し、「ディフェンス面についても問題はゲームプラン上のミスにある」と若い彼を擁護した。その上で、「修正できないならベンチに座らせるしかないが、彼には身体能力もサイズもある。賢い選手だから、できない理由はない」と、メディアを通じて檄を飛ばしてもいた。

こうして迎えた第6戦、シャノンJr.は見事に期待に応えた。マイク・コンリーの落ち着いたプレーメークから、シャノンJr.がボールを持つと攻めのスピードが一気に上がる。前にプレッシャーを掛けるナゲッツ守備陣の裏のスペースをスラッシャーの彼が突き、瞬間的な加速でマークをかわし、ヨキッチのカバーより速くシュートに持ち込むことで得点を重ねた。

「スタメンだと聞かされたのは会場に着いてからだったけど、チームの勝利のために自分にできることをやる、というメンタリティに変わりはなかった。アグレッシブに、そしてディフェンスではより注意深くプレーしようと意識した」とシャノンJr.は言う。

司令塔のコンリーもボールを持ちすぎず、ジェイデン・マクダニエルズやジュリアス・ランドルがプレーメークを担うことで多彩なオフェンスを作り出し、シャノンJr.が『秘密兵器』として機能。シリーズが始まった時点ではローテ外だった彼のドライブにナゲッツは対応できず、そこから後手に回った。

ベテランのランドルは、シャノンJr.の活躍を驚かなかった。「今日は彼の力が必要になると分かっていた。一昨日、彼から『守備でもっと上手くやれたはずだ』とメッセージが来たんだけど、僕は『自由にプレーすればいい。僕たちがカバーするからミスを恐れるな』と返信した。実際、コートに出て自分らしくプレーする彼のプレーが見られて良かったよ」

マクダニエルズは「このチームは仲間意識が強い。コーチもベテランも、シャノンJr.のような若手に思い切りプレーさせて、アドバイスを惜しまない」と言い、シャノンJr.の日々の姿勢がこの成功に繋がったと語る。「試合での出来が良くても悪くても、ずっと一生懸命に練習を頑張っている。やりすぎて一時はチームから練習禁止を命じられたほどだ。だから彼の今日の活躍に驚きはない」

一躍ヒーローとなったシャノンJr.は「勝つのはいつだって良い気分だし、勝利に貢献できてうれしい。セカンドラウンドに進めるのは素晴らしい感覚だ」と語った。

第3シードのナゲッツを撃破したウルブズは、セカンドラウンドで第2シードのスパーズに挑む。