
「この1年間の努力と成長をコート上で見せるつもりだ」
プレーインの一発勝負で真価を発揮するのは、NBAのトップに10年間君臨してきたステフィン・カリーだと予想されていた。しかし、思った以上に早く、そして誰の予想を上回る質で再建を進めてきたサンズがカリーを抑え込み、『傾きつつある王朝』ウォリアーズを上回った。
ウォリアーズは試合開始からの数分で若いブランディン・ポジェムスキーとギー・サントスがターンオーバーを連発。ここで早々に2桁のビハインドを背負ったことで後手に回り、追い掛けるのにエネルギーを使わざるを得なかった。
サンズはカリーに限らずウォリアーズの3ポイントシュートを徹底的に警戒した。オールスイッチで守り、ジョーダン・グッドウィンが、ディロン・ブルックスが、そしてスモールセンターのオソ・オガダロが常に3ポイントラインにプレッシャーを掛けてドライブに誘導する。カッティングにパスを合わせてイージーな2点を奪われても全く動じることなく、自分たちのディフェンスを貫く。ウォリアーズのペイントへの攻めは、決まれば鮮やかだったが少しでもタイミングがズレればターンオーバーとなり、そこからサンズに走られた。
それでもウォリアーズには特別な力がある。ほとんどの時間帯でビハインドを背負った先のクリッパーズ戦も、最後に一気呵成の3ポイントシュート攻勢で逆転勝ちを収めた。サンズのヘッドコーチ、ジョーダン・オットは「44分でも45分でもない、48分間やり続けろ」と選手たちを鼓舞し続けた。
カリーは36分の出場で17得点と抑え込まれた。試合途中でギアを上げざるを得ず、最後は足が動かなかった。そんな彼に代わって主役を演じたのはジェイレン・グリーンだった。「ポテンシャルは高いが、それを肝心な場面で発揮できない選手」というのが彼の評価だ。ケビン・デュラントとのトレードで加入しての1年目、ケガを繰り返してレギュラーシーズンは32試合にしか出場していない。コンスタントにプレーできないためチーム内での連携がなかなか構築できず、デビン・ブッカーがファーストオプションのサンズではボールタッチが少ないことでリズムをつかめず、ディフェンスで集中力を欠く弱点がしばしば指摘された。
3日前のプレーイン初戦、トレイルブレイザーズ戦ではチーム最多の35得点を記録していたが、それでもフィールドゴール29本中14本成功と確率は決して良くないこと、アシスト2に対してターンオーバー5というミスの多さ、そして残り9秒で決まれば逆転だった3ポイントシュートを決めきれずにチームが負けたことで、評価には繋がらなかった。
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この試合を前にグリーンは「この1年での僕の努力と成長をコート上で見せるつもりだ」と語っていた。その言葉通り、1年間の苦労をすべて消し去るような鮮烈なパフォーマンスだった。
ブッカーのシュートがなかなか決まらず、彼がいつも以上にパサーの役割を演じる中で、外で待つグリーンに次々とチャンスがやってきた。冷静に相手ディフェンスの動きを見つつ、それでも常にアグレッシブにシュートを狙うことで、フィールドゴール20本中14本成功、うち3ポイントシュート成功8本の36得点。ウォリアーズに流れが行きそうなタイミングで、それを断ち切る得点も何度かあり、大一番での勝負強さを見せた。
指揮官オットはグリーンに「誰も見ていないところで度重なるケガに耐えた精神力を称えたい」と称賛の言葉を送った。「特に若い選手にとって、長くバスケを取り上げられるのはキツいことだが、その不屈の精神が今日の舞台で報われた。プレーの強度が上がり、スペースがなくなるプレーオフでこそ、一人で何かを生み出せる彼のような存在が重要になる」
111-96で勝利を決めた直後のコート上インタビューで、グリーンは「何も言葉が出てこない。一発勝負の試合で、すべてを出し尽くすことだけを考えていた」と感極まった表情で語った。
落ち着きを取り戻した会見で、彼はロケッツに所属した昨シーズンのプレーオフの相手、ウォリアーズへのリベンジの気持ちをこう語った。「昨シーズンのことは忘れていない。僕にとっては初めてのプレーオフだったからね。手痛い負けだったけど、どんなことも自分次第で教訓になる。失敗を立ち上がるための経験に変えるんだ。1年前の悔しさをこの試合に持ち込んだ。上手く行って良かった」
それとともに、試合後にはリスペクトをこめてカリーと抱き合っている。「彼からは『プレーオフでサンダー相手に暴れてこい』と言ってもらった。僕がオークランドに住んでいた16歳の頃、彼のワークアウトに呼んでもらった。この数年は連絡を取り合って、アドバイスをもらってきた。史上最高の選手とこういう舞台で対戦できるのは光栄だ」