
ネッツを解雇されてバックスに移るも、1カ月半で解雇
キャム・トーマスにとってNBA5年目の今シーズンは、屈辱の連続となった。昨シーズンはミケル・ブリッジズを放出したネッツで攻めのファーストオプションとなるはずだったが、ふくらはぎの肉離れを3度繰り返して25試合のみの出場に終わった。
ルーキー契約が満了を迎えた昨年オフ、彼が望む好条件の新契約は提示されなかった。ネッツが提示したのは彼の希望の半分以下の2年3000万ドル(約45億円)。彼はこれを蹴り、1年600万ドル(約9億円)のクオリファイング・オファーを受け入れてネッツに残留した。今シーズンに復活のパフォーマンスを見せ、再評価を勝ち取った上で好条件のオファーを得るのが彼の目論見だった。
最初の誤算はネッツが新加入のマイケル・ポーターJr.をエースに据え、トーマスをシックスマンとしたことだ。2023-24シーズンに22.5得点、昨シーズンにキャリアハイの24.0得点を記録したトーマスのスタッツは、ベンチからの起用で急落した。
もともとトーマスの評価はスタッツほど高くはない。キャリア平均のフィールドゴール成功率は43.5%、3ポイントシュート成功率は34.0%と効率が良いわけではなく、得点は取れてもディフェンスやプレーメークなど、ガードがやるべき他の仕事ができないというイメージも定着している。昨シーズンはプレーメークへの意識を高めてアシストを増やしたが、その流れもケガで断ち切られてしまった。
かくしてトーマスは2月にネッツからウェイブされる。すぐにバックスと今シーズン終了までの契約を結んだものの、ここでもチャンスを与えられなかった。
バックスを率いるドック・リバースは、トーマスを獲得した時点ではジャマール・クロフォードやルー・ウィリアムズを引き合いに出し、シックスマンとしての期待を語っていた。加入2試合目でマジック相手に25分の出場で34得点を叩き出した時は、実際にセカンドユニットの得点源としてバックスのプレーオフ進出の秘密兵器になる気配があった。
だが、その流れもあっという間に萎んでしまった。初めての移籍に戸惑うトーマスのプレーは安定せず、肝心の得点力さえも発揮できなかった。現地3月24日にバックスは彼を解雇したが、それはピート・ナンスを2ウェイ契約から標準契約に切り替えるための『余剰戦力の整理』だった。
ネッツを解雇された時点で「どれだけ活躍した時でも、僕に足りない何かを探していた。ネッツのことは考えたくないし、話したくもない」とトーマスは古巣への不満を隠さなかった。バックス加入が決まった時には「ここに来られてうれしい。何よりうれしかったのは、『何年も前から君を獲得しようとしていた』と言ってくれたことだ」と語ったが、それから1カ月半、たった18試合に出場しただけで再び解雇されることになった。
結局、バックスも彼を信じようとはしなかった。最初の数試合を除いてはケビン・ポーターJr.やライアン・ロリンズを優先して起用したし、ヤニス・アデトクンボの欠場で得点力が足りていないにもかかわらず、トーマスに賭けようとはしなかった。
指揮官リバースは言った。「キャムが悪かったわけではない。彼が加入した時点では優勝を争うつもりだったが、今のチームはその状況にない。私はコーチとして、今その時点でチームにとって最善の決断を下すまでだ」