マーカス・サッサー

3年目のマーカス・サッサーが選手層の強化に貢献

ピストンズの2025-26シーズンは極めて順調だ。昨シーズンは勝ち星を前年の14勝から44勝に伸ばし、2018-19シーズン以来のプレーオフ出場を果たした。今シーズンは開幕からの1カ月で15勝2敗のロケットスタートを切り、東カンファレンスの首位を快走。昨年オフに選手の入れ替えを最小限に留め、ケイド・カニングハム中心のチーム作りを継続。ハードワークを売りにしながら主力に大きなケガ人を出さなかったことも幸いし、チームは着実に成長してきた。

そのピストンズが3月に入って4連敗を喫した。それまで2連敗が2度あっただけのチームにとっては『異常事態』だが、ヘッドコーチを務めるJ.B.ビッカースタッフは「今シーズン初めて『壁』にぶつかったが、我々にとっては良いことだ」と余裕を見せる。

「逆境は成長の機会であり、チームの一体感を強めてくれる。幸いにも解決するための時間はたっぷりある。選手はこの壁を乗り越えるよ。実際、連敗しても選手たちの表情は何も変わっていない」

若さの勢いだけのチームであれば、連敗で浮足立っていただろうが、今のピストンズはもうそのレベルではない。チームの弱点を認め、それを前向きに解消しようとしているし、それが可能だと信じている。

カニングハムがチームトップの25.1得点を記録し、ジェイレン・デューレンが18.6得点でそれに続く。しかし3番手以降となるトバイアス・ハリス、ダンカン・ロビンソン、アサー・トンプソンは、負け試合を接戦に引き戻し、接戦を勝ちきるには物足りない。アシストもカニングハムの9.9に続くのはデイニス・ジェンキンスの3.0で、カニングハムへの依存度が高すぎる。絶対的なエースが抑えられればオフェンスは停滞するし、今後は彼に負担が集中しすぎてパフォーマンスを保てなくなる懸念もある。

MVP級の働きを見せるカニングハムへの依存が高くなるのは当然だが、次のオプションを確立し、勝負どころまで彼の負担を減らすような選手層を整備しなければ、プレーオフで呆気ない負け方をしかねない。このまま第1シードを確保したとしても、東カンファレンスの中位は混戦で、そこを勝ち抜いてきたチームには勢いがあるはず。ピストンズ以上に若くて勢いのあるホークスやホーネッツかもしれないし、ヤニス・アデトクンボが万全の体調を取り戻したバックスかもしれない。上位ではセルティックスでジェイソン・テイタムが復帰し、キャバリアーズがジェームズ・ハーデンを補強している。『継続路線』で安定感のあるピストンズ以上に、勝負に出たチームが大きな波に乗る可能性がある。

ビッカースタッフは言う。「ケイドとジェイレンの存在はこのチームにとって最大の武器だ。2人とも努力を怠らずにオールスター選手へと成長し、2人の連携がチームの中心となっている。試合での彼らは相手ディフェンスに『何を守り、何を捨てさせるか』の選択を迫り、プレッシャーを掛ける。ケイドのプレーメーク、ジェイレンのリムへのロールが相手を後手に回らせることで、ウチは試合の主導権を握る」

「それと同時に我々は選手層の厚さを重視している。勝利に貢献できる選手は多く、それぞれがシーズンを通してそれを証明してきた」

選手層の厚みはいきなり効果が目に見えるものではない。ローテーションの端にいる選手たちが少しずつ結果を出し、チーム内での信頼を積み重ねていくものだ。その一人が3年目のマーカス・サッサーで、ガードとしてはチーム5番手でプレータイムが安定しない中、少しずつ存在感を強めている。トンプソンとキャリス・ルバートのケガを受けて今シーズン初先発から3試合連続でスタメン起用され、連敗を4で止めたネッツ戦では21分の出場で14得点を記録した。

「スタメン出場はうれしいよ。神に感謝しているし、常に準備を怠らないマインドセットを続けてきて良かった。ただ、スタメンでもベンチからでも、やることは変わらない。ディフェンスに集中し、自分たちの強みであるトランジションに持ち込む。ボールを動かし続けて、チャンスが来たら躊躇せず攻める。まずは守備に集中して、速いペースを維持すること。それができている限り、僕らは強いチームでいられる」とサッサーは語る。

2月にジェイデン・アイビーとのトレードで獲得したケビン・ハーターも、チームにフィットしつつある。レギュラーシーズン最後の1カ月、ピストンズは少しずつ、それでも着実にチーム力を高めていく。