文=丸山素行

「若さを生かして走り回るプレーで先輩に刺激を」

ルカ・パヴィチェヴィッチが日本代表をコーチするようになった昨秋から、馬場雄大はA代表に定着した。これまでも代表候補として練習参加はしていたが、チームの戦力としての位置付けをされ、2月のイランとの親善試合でA代表デビュー。月1回の合宿に呼ばれるだけでなく、ルカコーチと佐藤晃一スポーツパフォーマンスコーチの下で身体作りとスキルを磨くワークアウトに励んだ。そして、今回の東アジア選手権に臨む12人にも当然のように選ばれている。

代表最年少の21歳、唯一の学生プレーヤー。それでもBリーグで活躍するトッププレーヤーの中で臆する素振りは全くなく、むしろ練習中に盛んに声を出してチームメートを鼓舞している。「合宿を重ねるたびに激しさは強くなっていますし、その中でずっと参加をさせてもらっていて、その環境にも慣れてきて、すごく手応えを感じます」と馬場は言う。

練習では、チームで2番目に若い2歳上の富樫勇樹と「若手2人で声を出してハッスルしていこう」と話しているそうだ。「盛り上げる声もそうですけど、技術一つひとつを細かく詰める声だったり、年齢は関係なく気付いたことは発信していきたい」と高い意識を持っている。

「自分に与えられている役割ははっきりしていて、若さを生かして走り回るプレー。そういった部分で先輩方にも刺激を与えたいですし、下から頑張ってるところを見せたいです」

Bリーグでプレーする選手に比べて実戦の機会が少ない馬場からは、プレーに飢えている感じが伝わってくる。それが練習に取り組む姿勢にもプラスになっているようだ。「練習から120%の力でやりたいですし、そういうところから活力が生まれてくると思っています。僕がコートで表現して、次に入ってくる年代の選手たちに見せられたらと思います」と馬場は言う。

「自分が満足できるようなプレーは表現できていない」

タレントの揃う代表においては、個性を出すことがアピールにつながる。身体能力の高さを、ディフェンス、リバウンド、得点につなげたいと馬場は意気込む。「僕はディフェンスを頑張ることがまず最初に来ると思います」と馬場は言う。「ルカが言っているインテンシティやソリッドなディフェンスを実行して、そこから走るプレーやピックアンドロールも練習しているので。少しずつそれを見せられたらなと思います」

先月行われたユニバーシアード代表(U-24)での韓国戦で、ディフェンスについては気付きがあった。「ルカが最初から言っている『ギャンブルを狙わずに強固に守る』こと。いつもはギャンブルして簡単に決められてしまうケースがあったんですけど、韓国戦は硬いディフェンスで、ちょっと点差があっても離されず付いていくこともできました」

リバウンドやルーズボールにも積極的に飛び込むつもりだ。「リバウンドも自分の役割だと思っています。2桁得点を取ってのダブル・ダブルを目標にしています。ルーズボールだったりリバウンドだったり、泥臭いプレーは若い選手ならではなので、そこは練習中も試合でも積極的に絡んでいきたい」と馬場は言う。

もちろん、ダーティワークだけでなく華やかな得点も馬場の持ち味。Bリーグで実績のある選手と自分との個性の違いはこう認識している。「比江島(慎)選手だったり田中(大貴)選手はハーフコートオフェンスですごくうまいと思います。でも、オールコートと考えると突出して走る選手はいないと考えているので、そこは自分がコートで先頭を切って表現していきたい。リバウンドからそのままドリブルで行けることもあると思います」

比江島と田中、Bリーグのスター選手と切磋琢磨する現状を楽しむだけの余裕が馬場にはある。「レベルが高い人とやればやるほど楽しいです。今、同じポジションである比江島さんや大貴さんとやるのはすごく楽しいです」

「現状に満足していたら、もういいやとなると思うので、上へ上へと目指してやっていくからこそ日々の過ごし方が大切になってくる」というのが馬場の基本的な考え方だ。

最終目標は東京オリンピック。まだまだ先は長いが、若い馬場は悠長に構えてはいない。「出場させてもらったはいいものの、自分が満足できるようなプレーはコート上で表現できていないので、そこをもっと詰めていくことです」

「一番を目指してやっていきます」と馬場は言う。今日から始まる東アジア選手権では「一番」のパフォーマンスを期待したい。