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勝利に貢献した本人は至ってクール「まだ1勝」

ウォリアーズの完勝に終わったNBAファイナル第1戦。38得点8リバウンド8アシストのケビン・デュラント、28得点10アシストのステフィン・カリーの活躍が目立つが、ヘッドコーチ代行を務めるマイク・ブラウンは、試合後の会見でクレイ・トンプソンを称えた。

第1戦でフィールドゴール16本中3本成功に終わったトンプソンについて、ブラウンは「フィールドゴールは16本中3本に終わったかもしれないが、クレイにはプレーオフを通じて多くのことを要求している」と明かす。

本来なら攻撃的なオプションのはずが、トンプソンは第1戦で守備に徹した。試合開始直後には、カイリー・アービングから左コーナーでボールを受けたケビン・ラブへと守備をスイッチ。体格で勝るラブに当たり負けすることなくエアーボールを打たせ、オラクル・アリーナに集まった満員のファンから拍手喝采で称えられた。

ブラウンは言う。

「彼はプレーオフを通じ、素晴らしいポイントガードのマークに付いている。今日もアービングをマークして、相手のピック&ロールにも付いて回り、アービングに徹底して貼り付いた。アイソレーションでも、トランジションでもね。カイリーは素晴らしい選手なので、結果的に点は決められてしまう。しかし、クレイはキャブズのスクリーンに負けずファイトオーバーし続けた。相手に強く当たられながらも、カイリーのシュートに競り、リバウンドを奪おうとした。守備の仕事をすべてこなそうとしてくれた。オフェンスにおいても彼は正しいプレーをしてくれる。チームが彼を愛して止まない理由は、そういう姿勢にある」

もっとも『陰のMVP』トンプソンは、勝利の後も至ってクール。「まだ1勝しただけ。喜べない」と語った。

「去年のファイナルは第2戦を終えた時点で2勝0敗だったよね。今日の勝利を喜べるのは今夜だけ。明日からは忘れて、日曜の第2戦でも可能な限りハードにプレーして、勝つだけだ」

オフェンスのメインオプションがデュラントとカリーなのは言うまでもない。だが、仮にキャブズが第2戦から守備を立て直し、トランジションからデュラントとカリーのプレーを抑えられたとしても、『第3の矢』であるトンプソンが満を持してオフェンスを牽引、というシナリオも十分に考えられる。

その気になればいつでもシュートを連続成功させられるクレイ・トンプソン。彼のような選手が守備に徹していることの方こそ、キャブズにとってはこの上なく不気味で、厄介なのではないだろうか。