
「僕をこの立場に押し上げたのは仕事に取り組む姿勢」
ウォリアーズはオールスターブレイク明けも2勝3敗と調子が上がらない。ステフィン・カリーはオールスターを欠場して治療を優先することでもう復帰しているはずだったが、右膝の痛みが引かず、結局2月は1試合もプレーできなかった。「この時期に復帰すればプレーオフに向けて全速力で駆け抜けることになる。そうなれば多少の痛みには耐えなければいけないが、そこで悪化するリスクは避けたい。もう少し時間がかかりそうだ」とカリーはコメントしている。
ジョナサン・クミンガとのトレードで獲得したクリスタプス・ポルジンギスは、体調不良で1試合に出場したのみ。昨シーズンから彼は起立性頻脈症候群に悩まされており、ホークスでの今シーズン前半戦も断続的に17試合でしかプレーできていない。
ジミー・バトラーは右膝の前十字靭帯断裂で今シーズン絶望。核となる選手を複数欠き、チームはなかなか上向かない。そんな苦しい状況でもチームは勝率5割を維持し、シーズン終盤の反攻に備えている。それはブランディン・ポジェムスキーやディアンソニー・メルトン、パット・スペンサー、ウィル・リチャードといった『脇役』のステップアップがあるからだ。
中でも3年目の23歳、ギー・サントスの成長は目覚ましいものがある。ブラジルでプロ経験を持ち、2022年の2巡目55位でウォリアーズに指名された彼は、3年500万ドル(約7億5000万円)という格安の契約を結び、経験を積むためにGリーグでプレーすることも多かった。各ポジションに経験豊富なベテランが揃い、チームバスケが高いレベルで完成されてもいるウォリアーズで若手が台頭するのは非常に難しく、サントスもその壁にぶち当たっていた。
サントスにとって転機となったのは、バトラーの戦線離脱だ。ジョナサン・クミンガを起用すべきだとの声が上がる中で、指揮官スティーブ・カーはサントスの出場機会を増やした。MVP級の実力を持つバトラーの穴はそう簡単には埋まらない。それでもサントスは攻守に及第点以上のプレーを見せ、今ではスタメンで起用されている。
指揮官カーはサントスについて「ジミーのケガで、ペイントアタックから得点やパスのできる選手が必要となった。この数試合、何もないところから自分でアタックすることで、チームで最高のシュートクリエイターになっている」と、その貢献を語る。
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そしてサントスは、来シーズンから始まる3年1500万ドル(約23億円)の契約延長を勝ち取った。決して高額ではないが、3年目はプレーヤーオプションで、立場が安泰となったことで自分のバスケを高めることに専念できる。
「自分の努力が評価され、こうして報われたのが本当にうれしい。ブラジル時代、またGリーグでプレーしていた時から、ずっと努力をしてきた。決して環境の良くないブラジルからNBAにたどり着くだけでも偉業だし、さらに世界最高のチームで契約延長を勝ち取れたんだから、この気持ちは言葉では言い表せない」とサントスは語る。
2月のサントスはそれまで10分前後だったプレータイムを平均30分まで伸ばし、スタッツも15.1得点、5.7リバウンド、4.0アシストと急上昇。3ポイントシュート成功率は41.3%と絶好調だ。契約最終年を迎えていたが、フリーエージェント市場に出ればより好条件の契約を得ることも可能だった。それでも彼は「オファーをもらった時点で即決だった」と、ウォリアーズへの忠誠心を見せる。
「オファーをもらって、僕の立ち位置を振り返ったんだ。ドラフト2巡目後半で指名を受けて、これほど早く契約延長のできる選手がどれだけいるだろうか。僕はウォリアーズという組織とそこで働く人々が大好きで、全員が僕にとって特別な存在だと思っている。だからこそ、ここで3年間プレーできること、ステフやドレイモンド、ジミーといった選手と一緒にいられることに特別な感情を持てる」
今回の契約延長をサントスは「これで家族を何年もずっと支えることができるのが一番うれしい。僕をずっと支えてきてくれたから」と語る。
「契約延長を報告する電話をした時、ちょっとしたイタズラで母に『みんなに話さなきゃいけないことがある』と真面目な声で言ったんだけど、そうしたら婚約者が妊娠したんだと間違われたよ(笑)。それでも僕が何か問題を起こしたと思うのではなく、良い話と受け止めてくれたのはうれしいね。『そうじゃなくて、契約延長が決まった』と伝えたら、みんな涙を流して喜んでくれた。これで生活基盤がしっかりしたので、いつか本当に両親に孫の誕生を報告できるかもしれない(笑)」
かつてのNBAでは多くのブラジル人選手がプレーしていたが、今はサントス一人だけだ。「だからこそ、僕はNBAを目指すブラジルの子供たちのお手本にならなきゃいけない」と彼は言う。
「最も伝えたいのは仕事に取り組む姿勢だ。僕を今この立場に押し上げたのは、それだけだと言える。僕はいつもコーチに『試合に出るには何をすればいいですか』と質問していた。彼の答えは『とにかく全力でプレーしろ。あとはステフにボールを渡せ』で、それを忠実に実行したよ。そしてジミーがケガをした時、単なるエナジーガイ以上のプレーができることを証明した。努力は結果に繋がる、それをブラジルの子供たちに見せていきたい」