
「今日勝てて、本当にホッとしている」
3月1日、バスケットボール男子日本代表は『FIBAワールドカップ2027アジア予選』Window2のゲーム2で韓国と対戦。序盤から一進一退の攻防が続く中、終盤の勝負どころにおいてわずかにプレーの遂行力で上回り78-72で激闘を制した。
先発ポイントガードを務めた齋藤拓実は、21分16秒の出場で9得点4アシスト2リバウンド1スティールを記録。齋藤らしい冷静なパスさばきに加え、特に第4クォーターはこの試合で24得点を挙げたジョシュ・ホーキンソンとのツーメンゲームでオフェンスを牽引。そして3点リードで迎えた残り1分には、勝利を大きく引き寄せる3ポイントシュートを沈める大活躍だった。
中国戦からの連敗を阻止する立役者となった齋藤は「なんとしてでも勝ちたい中で、今日勝てて本当にホッとしているのが今の気持ちです」と安堵の表情を見せる。
そして圧巻のパフォーマンスだった第4クォーターのプレーをこう振り返る。「あの時間帯は、ポケットパス、アシストを通すことでオープンシュートをしっかり作れていました。そして自分もシュートを決められるようになると、やっぱりリズムに乗れてきます。ジョシュとのピック&ロールが効いていたのはコートでも分かっていましたし、コーチ陣からもそういった指示が出ていたので、最後までしっかり遂行できたのは良かったです」
Window1のチャイニーズ・タイペイ戦、Window2初戦の中国戦と、齋藤は4試合連続の先発起用となったが、これまではここ一番の場面でコートに立っていたのは富樫勇樹だった。今回は勝負どころでコートに送り出され「あの時間帯で、ボールを預けてもらえるのはすごく光栄なことだと思います」と粋に感じ、首脳陣の期待にしっかり応えた。
巧みなパスが代名詞の齋藤であるが、Bリーグでは1試合2桁得点をコンスタントに挙げているように非凡な得点力も大きな魅力だ。しかし、これまでは消極的なプレーも多かった。「代表の試合を何度か経験させてもらって、普段のチームでやっている感覚で試合に入るのがすごく難しいとあらためて思いました。シュートの感覚、攻めるタイミングがいつもと違って、アジャストするには少し時間がかかってしまったのは前の試合を含めて感じていました」
その結果、中国戦では10分出場でシュートを放ったのはわずか1本に留まっており、Bリーグでの活躍を知る誰もが、もっとシュートを狙っていくべきと感じていた。富樫もその1人で、「拓実には『もうちょっとやっていいんじゃないか』とずっと言っていました」と語る。
「パスファーストの選手ですけど、もっとアグレッシブにアタックしていい。それができる選手だと思っています。もちろん最後の3ポイントシュートは大きかったですし、今後も彼の力は日本代表にすごく必要だと思います。ガード陣で良いコミュニケーションを取りながらやっていきたいです」
この富樫の信頼に対し、齋藤はこのように答える。「その辺りは勇樹さんだけでなく、アシスタントコーチたちも、もっと自分がファーストオプションでいいと言ってくれています。攻めるべきタイミングをしっかりと感じ取りながらパスをさばいていくのがポイントガードの仕事だと思うので、消極的になりすぎないように気をつけていきたいです」
これで日本はグループBで3勝1敗となり、1次ラウンド突破に大きく前進した。そして齋藤が代表でも本来の得点力を見せ、ここ一番での勝負強さを発揮したことは、今後の日本代表にとって今日の勝利と同じくらい大きな価値を持つ。