「もう後がない状況なので1試合も取りこぼせない」
1月31日、三遠ネオフェニックスはアウェーで滋賀レイクスと対戦。第3クォーター終了時点で75-50と大量リードを奪うと、最終クォーターに反撃を受けたものの、最終的に93-81で勝利を手にした。
黒星が先行している三遠だが、中断期間明けにリーグ首位の長崎ヴェルカに土をつけ、続く平日ゲームのアルティーリ千葉戦でも勝利。直近4試合を3勝1敗と勝ち越している。欠場が続いていた佐々木隆成と吉井裕鷹、ヤンテ・メイテンの復帰は、好調の大きな要因として挙げられる。特に佐々木の存在は逆襲の象徴であり、復帰したことでチームスタイルにも影響があると三遠の大野篤史ヘッドコーチは語る。「隆成が戻ってきたことで、自分たちの本来のペースが出せるようになってきました」
中断期間が明けてからは勝率は伸ばしているものの、16勝18敗とシーズン成績は5割に満たない。佐々木はそれを認識した上で「もう後がない状況なので、1試合も取りこぼせないです。取り返しがつかなくなる前に改善できるようにしていきます」と、この試合の課題を次に繋げていくと力強く語る。
佐々木は、勝利した先週の長崎戦で12分34秒の出場ながら25得点のハイパフォーマンスを見せた。冗談として「フル出場したら75点取ってましたね」と伝えると、満面の笑みで「いやいや、体力が持たないですよ」と返してくれた。
「アキレス腱はまったく気にならないですね」と言うように、長期離脱に繋がったアキレス腱の断裂や、12月6日に受傷したハムストリングの肉離れの影響以上に、体力が戻っていないことがプレータイム制限に繋がっている。この試合では、2分前後プレーしてベンチに下がり、再びコートに戻ることを繰り返す細切れのような起用方法だった。ポイントガードとしてリズムが作りにくいはずだが、コンディションを優先している。「長い時間出てた方がリズムはつかみやすいですが、体力もですし、肉離れの様子も見つつなので、徐々にプレータイムを伸ばしていければいいかなと」
黒いサポーターで右足全体を覆っている以外は、これまでと変わらぬ佐々木だった。動きを見ていれば、本人が言うようにケガ前と遜色ないキレやシュート力を見せている。それと同時にプレーを楽しんでいる様子がよく分かる。インタビューの受け答えも実に軽やかだ。「これだけ長い期間、自分のチームの試合を外側から見る経験はなかったので勉強になりました。ただ試合に出たい気持ちはずっと持っていたので、今はハッピーです(笑)」と胸の内を明かす。
さらに長期離脱したことで、心境の変化があったと続ける。「バスケができる日常が楽しいですね。ケガをする前、バスケ=仕事という感覚が強くて、好きや楽しい気持ちはあまりなかったです。試合から離れたことで、『試合に出たい!』とか『プレーしたい!』という気持ちがすごい出てきて、やっぱり自分はバスケが好きなんだなぁと思いました」

「持っているものを全力でぶつけることに集中していく」
佐々木は現在29歳。三遠でのキャリアも4シーズン目となり、個人のパフォーマンスだけでなく、チームを引っ張るリーダーとしての役割も期待されている。三遠にはルーキーの根本大、21歳の湧川颯斗、19歳の児玉ジュニアと、若いガード陣が多い。湧川は以前、佐々木からの助言が役立っていると話していたが、佐々木は「自分から言うことはあまりないですが、伝えられることは伝えたいと思っています。ワクは聞いてきてくれるから、結構話しますね」と、後輩との関係性を明かした。
そして、自身の離脱中にチームを支えた彼らに、さらなるステップアップを願っている。「年齢で考えれば、自分が同じくらいの歳の時と比べると、技術的なことは彼らの方が全然うまいです。ただ、気持ちや自信を持つ部分はこれからです。自分も三遠1年目はそうだったので、重なる部分があり、声はかけていくようにしています」
レギュラーシーズンは、残り26試合。チャンピオンシップ圏内までは6ゲーム差と決して簡単な道のりではないが、佐々木は下を向かない。「負けられない崖っぷちの状態ですが、先を見過ぎずに目の前の試合で、自分たちの持っているものを全力でぶつけることに集中していきます。昨シーズンもそうでしたが、そのビジョンでいる方が良い結果に結びつきます」
その言葉の通り、中地区優勝を果たした昨シーズンの強さを再び見せられれば、逆転でのチャンピオンシップ進出も可能だろう。この逆境を跳ね除け、不死鳥の如く躍進すべく、佐々木の今シーズンがスタートした。
