ケリー・ウーブレイJr.

守備ではシェングンを抑え、攻撃でも効率良く26得点

同点で迎えた第4クォーター残り13秒からの攻め。タイリース・マクシーはこの日一番の加速でマークを振り切り、レイアップを放った。ケビン・デュラントのブロックはゴールテンディングに見えたが、審判は流した。劇的なゲームウィナーが取り消されたことに選手たちもフィラデルフィアのファンも激怒した。

シクサーズを率いるニック・ナースは「審判から見えづらい場所だったのかもしれないが、そうであればコールすべきだ。コールすれば映像を確認して正しいジャッジができる。それなら我々も納得できる」と試合後も不満を語った。

しかし、オーバータイムでシクサーズはポール・ジョージとVJ・エッジコムの得点を皮切りに13-7で上回り、ロケッツを破った。不運なジャッジに屈することなく勝てたのは、マクシーの言う「誤審だと思うけど、延長で勝てばいいだけの話」というメンタリティのおかげだ。

かくしてシクサーズは、ホームで強豪相手になかなか勝てないジンクスを破り、ファンを笑顔で帰路に就かせることができた。ポール・ジョージが膝のケガから復帰し、ジョエル・エンビードとマクシーの『ビッグ3』が揃い踏みとなった。

マクシーは36得点10アシストとエースの重責を果たしている。エンビードは32得点15リバウンド10アシストのトリプル・ダブルを記録したが、それ以上に価値があるのは46分間プレーしたことで、膝のケガの長らく続く影響から本格的に脱しつつあることだ。

この日の勝利でシクサーズは24勝に到達。24勝は昨シーズンを通しての勝ち星の数だ。マクシーは「昨シーズンは苦しいことばかりだったけど、今は楽しいよ。勝っている時に文句を言う人はいないからね」と語る。「今は誰であろうと試合に出る選手がステップアップしている。常に勝てるとは言わないけど、すべての試合で全力で戦えているよ。率直に言って、全員が健康でいられるのは気分が良い。今の僕たちにはスタメンで使える選択肢がかなり多くなっていて、これはシーズン終盤に大きな力になるはずだ」

その選択肢の一つがケリー・ウーブレイJr.だ。11月に膝を痛めて戦線離脱したが、今年に入って復帰。ドミニック・バーローの台頭で控えに回り、エンビードの欠場時にスタメンで起用されていたが、今回はエンビードとともにスタメンで出場した。

ロケッツのキーマン、アルペラン・シェングンを13得点に封じる粘り強いディフェンスを見せ、攻めに転じてはフィールドゴール14本中10本と高確率で決めて26得点を記録。相手の長所を消し、さらなる上積みももたらしたウーブレイJr.の働きは大きかった。

「ロケッツはシェングンのポストアップで簡単に得点する想定だった。だからこそ、簡単にやられるわけにはいかなかった。深い位置まで押し込まれたら勝ち目はないから、ヘルプを求めつつ、そもそも彼に良い形でボールを持たせないように泥臭いプレーに徹した」とウーブレイJr.は語る。

ディフェンスでは難しい仕事を泥臭くこなす一方で、オフェンスでは簡単なプレーを確実に決めていった。「ジョエルのような強烈なエネルギーを持った選手が一緒だと、僕のマークマンが彼にダブルチームに行ったり、そうでなくとも意識のいくらかは彼に向けるものだ。そうなると僕の前にはペイントエリアに続く道ができる。そこに走ればイージーシュートを打てるし、得点できなくても他の選手のためのスペースを作ることになる。単に僕がパスをもらって得点を決めるのではなく、相手のディフェンスを動かし、崩すのが重要なんだ」

そうやって良いリズムをつかんだことで、3ポイントシュートも5本中4本を決めた。「ちゃんと努力して、それを信じるだけ。決まらない日もあるから、一喜一憂しないよう努めている。結局のところ大事なのは『次に打つシュート』だ。努力は裏切らない。結果はついてくるものさ」

昨シーズンに続いて今シーズンも開幕からケガ人続出で苦しい戦いを強いられたが、その時期を耐えたおかげで選手層が分厚くなり、チームは充実しつつある。現在東カンファレンス5位のシクサーズには、まだまだ上積みが期待できそうだ。