二上耀

「自分もチームに必要なワンピースになりたいです」

『第101回天皇杯 全日本バスケットボール選手権大会』で、千葉ジェッツは宇都宮ブレックスに序盤の大量リードをひっくり返されベスト8敗退に終わった。厳しい結果となった今大会において、明るい材料だったのは二上耀の復帰だ。

筑波大時代、二上は切れ味鋭いドライブを武器に世代屈指のウイングとして2020年のインカレ準優勝、翌年の3位に大きく貢献と、申し分のない実績を残して千葉Jに加入した。しかし、プロになってからは2度の左膝前十字靭帯断裂など、ケガによる長期離脱を強いられてきた。今シーズンもコンディション不良などから、天皇杯の前までで2試合の出場に留まっていた。

その中で今大会はJR東日本秋田戦、宇都宮戦に出場。宇都宮戦では試合終盤に得点を挙げるなど確かな爪痕を残した。二上はこう振り返る。「シーズン中に何回か離脱してしまった中、天皇杯に向けて少ない時間で調整しないといけないようになりました。その中で自分の役割を全うしようという思いで天皇杯に臨みました。まず、コートに立てたところにすごく安堵感はありますが、自分の足りない部分を感じましたし、『もっとやれた』という悔しさがあります。ただ、試合を積み重ねていくことで少しずつできていくと思っています。天皇杯は終わりましたが、レギュラーシーズンで自分の役割をこなしてチームに貢献していきたいです」

今シーズンも含め、ケガを繰り返してしまうことに「もどかしさはありました」と二上は率直な思いを明かすが、逆境に直面したことで得られたモノもあったと続ける。「バスケットをしたいのにできない時間がすごく多かったです。ただ、マイナスなことばかりではなく、プラスの部分もありました。それはケガのように人生で辛いことが起きた時、それをマイナスで終わらせるのではなく、経験を生かして自分の良さにしていくことの大事さに気付かされたところです」

また、辛いリハビリを乗り越えられた理由として、「ここで終われない、なんとしても再びコートに立ちたい」という強い気持ちと共に、恩返しの思いが大きなモチベーションとなっていた。「これまで応援をしてくださっているブースターさんの前でプレーがしたい。チームのスタッフだったり、いろいろな方が、本当にサポートしてくださっています。僕がコートに立って活躍することが、これまで支えてくれた人たちに報いることになると思っています」

今回の天皇杯は、二上にとって1つの壁を乗り越える舞台となったが、それはあくまで通過点に過ぎない。天皇杯の会場にも多くの千葉Jファンが詰めかけていたが、やはりホームの『LaLa arena TOKYO-BAY』で復活した姿を見せたい気持ちは強い。後半戦に向け、「オールスター明けのリーグ戦でも、絶対に試合に出て自分の役割を果たしたいです。千葉ジェッツが目指しているのはリーグ優勝で、絶対に勝てるチームだと思っています。その中で、もっと頑張ることで自分もチームに必要なワンピースになりたいです」と意気込む。

これからの過密日程が続く中、常にベストメンバーで戦えることは多くない。現に千葉Jは年末から複数の故障者が出ている。その中でも白星を重ね、チャンピオンシップのホームコートアドバンテージ獲得となる地区優勝を達成するには、何よりもベンチメンバーを含めた総合力が鍵となっている。そして様々な苦難を乗り越え心身ともにたくましくなった二上は、Xファクターとしてチームの底上げに貢献できる力を備えている。その片鱗をしっかりと示し、明日から始まるリーグ後半戦でのプレーに期待が高まる天皇杯だった。