河村勇輝

「彼は興奮を生み出す選手」

ブルズと2ウェイ契約を結んだ河村勇輝は1月15日、Gリーグのゲームで今季初出場を果たした。ウィンディシティ・ブルズのベンチから登場した河村は、サンディエゴ・クリッパーズ戦で約16分をプレーして2得点2リバウンド7アシストを記録。右足の血栓というアクシデントで一度は契約を解除され、療養後に再契約を果たした日本の司令塔はまずは元気な姿を見せてファン、関係者を安心させた。

河村は今後、まずはGリーグで実戦経験を積み重ねることになりそうだ。注目は今季、NBAでどれだけプレーのチャンスがありそうなのか。そして、そのために必要なのはどんな流れなのか、という点だ。

ブルズと河村の現在地を知るため、シカゴ・スポーツ・ネットワークのレポーターを務めるKC・ジョンソン記者に意見を求めた。シカゴ・トリビューン紙時代からブルズを追いかけてきた大ベテランライターは河村の能力、魅力がブルズから高く評価されていることを認めつつ、NBA定着の可能性には慎重だった。

以下、KC・ジョンソン記者の1人語り

ブルズがユウキをどれだけ評価しているかは、再契約に至った一連の流れを見てもらえれば分かると思う。右足に血栓ができたということで一度は契約解除されたが、それでもシカゴに残して、チーム施設でリハビリをさせた。そして、プレーできる状態になった途端に、すぐにまた2ウェイ契約をした。その事実は、チーム上層部が彼をどう見ているかを如実に物語っている。

ブルズがユウキに2ウェイ契約を与えたのは、昨夏のサマーリーグで彼が他の誰よりも際立ったプレーをしたからだ。サマーリーグで最も優れた選手の一人であり、チーム上層部は完全に彼に惚れ込んだ。昨年グリズリーズの一員として残した実績ももちろん分かっていた。もちろんブルズだけではなく、それはリーグ全体が見ていたし、ユウキがやってきたことは本当に印象的だった。

先ほども言った通り、残念ながらユウキにはメディカル上の問題が起きたが、ブルズは彼をチームからすぐに追い出すようなことはしなかった。シカゴに残して、そこでリハビリを続けさせた。彼が健康を取り戻せば再契約するつもりだったのは私の目にも明らかだったし、実際にそうなった。

ユウキの素晴らしさはパスワーク、エナジー、シュート力、クリエイティビティ、そして周囲をワクワクさせる力だ。彼は興奮を生み出す選手だ。君たちも分かっていると思うが、ユウキは『客を呼べる』選手でもある。ファンは彼のプレーを見てワクワクする。観客を引きつける存在だ。そう考えれば、ブルズがGリーグのロスターに加えない理由はないし、状況次第ではNBAのファンに対しても、その魅力を届けることができるかもしれない。

ただ、ユウキが今後良いコンディションを取り戻せたとしても、安定した形でブルズでのプレー機会を得るのは容易ではない。完全に可能性を否定するつもりはないが、簡単ではないということは強調しておきたい。というのも、すでに語られてきた通り、ブルズはガード陣の層が本当に厚いからだ。ジョシュ・ギディー、コビー・ホワイトを筆頭に、優れたガードが何人もいるチームだ。

KC・ジョンソン

『中間地点』に留まり続けているチームが今後の方針をどう定めるか

ユウキが良いガードではないという意味ではない。私は彼をNBAレベルの選手だと思っている。昨年、グリズリーズでも良いプレーを見せていたし、安定してNBAでプレーするためには、単に『正しい機会』が必要なだけだと思う。

ポイントとなるのはやはり2月5日のトレード期限に何が起きるかだ。ブルズがガード陣をどうするのかがまだ分からない。トレ・ジョーンズの将来については憶測が出ているし、ホワイトについても、おそらく放出に関する話は出てくるだろう。つまり、チームが今後の方針をどう定めるか分からないということだ。

ブルズは現在19勝22敗で東カンファレンス9位。ここ数年と同じで、どこか中途半端な立ち位置にいる。彼らは多くの負傷者を抱えてきたし、完全に評価するのは難しい面もある。主力の全員が揃った時には『これは本当に良くなる可能性がある』と感じさせる瞬間もあった。そこはバランスを取って考える必要がある。とはいえ、故障者はどのチームにも出るもの。結局のところ、長い間続いてきたように、優勝が狙えるわけでもなく、かといって再建するわけでもなく、『中間地点』に留まり続けているチームという評価になってしまう。

今シーズンも今のところ、プレーオフ進出を目指す意向を打ち出している。ただ、これまでと少し違う雰囲気もあるのは確かだ。以前よりも育成やロスターの再構築に重きを置いている。トレードについても、意味があるものであれば応じる姿勢を見せている。これまでは、そこまでオープンではなかった。今後、ブルズがどうなるかは、もう少し様子を見てみなければならないのだろう。

もしトレード期限を過ぎて、チームがプレーオフを本気で狙う状況ではなくなり、若手育成に舵を切るような展開になれば、方針が変わっていくことは考えられる。そこでユウキに大きなチャンスが巡ってくる可能性はあるかもしれない。ただし、これはすべて仮定の話だ。

繰り返しになるが、ブルズは間違いなくユウキを気に入っている。それでも現時点では、彼はGリーグとNBAを行き来する立場の選手という位置づけだ。立場が向上する可能性はあるが、確率を示すことはできない。正直、まったく分からない。起きなければならないことがあまりにも多いからだ。ただ、可能性がゼロではないのは確かだ。