「なんか『打たされてる』感覚になってしまった」

デンソーアイリスは『第92回皇后杯 全日本バスケットボール選手権大会』の決勝戦でENEOSサンフラワーズに62-76で敗れ、準優勝で大会を終えた。

前半を12点ビハインドで終えたデンソーだったが、第3クォーターに反撃し同点で最終クォーターを迎えると、開始1分には笠置晴菜の3ポイントシュートでこの試合初めてリードした。しかし、その後はオフェンスが停滞。焦りからタフショットを打たされ、ターンオーバーから連続で失点する悪循環に陥り、残り約7分間で11-26と一気に突き放された。笠置は「気迫をすごく感じました。無理やり攻めたことでENEOSさんの速攻や3ポイントシュートに繋がったのかなって思っているので、ちょっとのミスが大きいことに繋がるというのが今日の試合で十分に分かりました」と、冷静に終盤の攻防を振り返った。

自身の役割について「ディフェンスではボールマンにプレッシャーを常にかけ続けること。オフェンスでは自分がコントロールするというよりは、アグレッシブに打てるときは打って、攻めるときは攻める。チームに流れを持ってくるようなプレーをしていきたい」と語る笠置は、チームハイの14得点を記録するなど、劣勢の中でも活路を見出そうとする姿勢が印象的だった。準決勝の富士通レッドウェーブ戦でも10得点9リバウンド3アシスト2スティールの活躍など大会を通じて、攻守にわたって奮闘していたように映ったが、「勝つことがすべてなので、この試合でできなきゃ意味がない」と、満足していない。

「自分が得点を取れても負けたら意味がないと思っています。自分が得点するより、他の選手の得点を止めていたのであれば、それはENEOSさんの作戦通りみたいな感じになってしまうのかなと。だからといって自分が攻めないというわけではないですけど、もっとバランス良く、重たくならないようにするのはどうすれば良かったかなって」

ENEOSが意図して笠置に得点を取らせようとしたかと言えばそうではないだろう。ただ、最も得点を挙げた笠置は「きれいに打ったというよりは、なんか『打たされてる』感覚になってしまって。具体的には分からないんですけど、ピックのところも吸い込まれていくような感じでした」と、疑心暗鬼に陥っていた。それはチームメートの得点が伸びなかったことに起因する。大黒柱の髙田真希が4得点、エースの赤穂ひまわりは6得点に終わった。得点力のあるメンバーが揃っているからこその悩みだが、オフェンスのバランスが悪かったことで自分の選択が正しかったのかと自問する。

「今回の試合が重くなってしまったのは事実です。ボールが回らず、良いチャンスを作ってあげられないから、そう(2人の得点が伸びなかったと)感じてしまいます。それこそ富士通戦は良かったので、チームとしても個人としても、そういう展開に持っていくにはどうすればいいかを、これから探っていきたいです」

当然ながらこの敗戦は無駄ではない。ハーフタイムに選手同士で修正点を話し合い、第3クォーターには追い上げるなどできた部分もあった。ENEOSとの差を痛感しながらも、その差を言語化し、自分の課題として引き受ける。この決勝で得た経験は、笠置をもう一段階引き上げるための確かな材料になるはずだ。