シーホース三河

ベテランの一挙手一投足がチームの力に

シーホース三河は『第101回天皇杯 全日本バスケットボール選手権大会』の準決勝で宇都宮ブレックスと対戦。3ポイントシュート成功率を14.7%に抑える鉄壁のディフェンスを披露し、71-53の完勝を収めた。

53失点という数字が示すように、守り勝ったことは間違いない。ライアン・リッチマンヘッドコーチも「ディフェンスが大変素晴らしかった。選手たちのハードワークが1回だけではなく全ポゼッションで見えたことも本当に素晴らしかった」と総括した。

誰しもがディフェンスとリバウンドで上回ったことを勝因に挙げたが、オフェンスで主役を張ったのが石井講祐だった。石井は3本の3ポイントシュートを含む、ゲームハイの15得点を記録。また、リバウンドにもよくからみ、3本のオフェンスリバウンドを獲得。さらにブロックショットも決めるなど、攻守にフル回転だった。石井は言う。「とにかくディフェンスとリバウンドにからもうという意識を強く持ってやっていました。結果的にディフェンスのハッスルが速攻だったり、僕がオープンになることへ繋がったと思います」

石井は千葉ジェッツとサンロッカーズ渋谷時代に合計で4度の天皇杯優勝を経験している。そして、多くのチームメートが石井の存在が今回の勝利に繋がったと口を揃えた。日本人エースの西田優大はこのように試合を振り返る。

「石井さんだったり須田(侑太郎)さんだったりが、勝つメンタリティというのを僕たちにもたらしてくれました。一つのルーズボールだったり、一つのチェック、そういうプレーが僕たちの勝ちを手繰り寄せるカギだったと思います。そこを体現してくれたおかげで、今日は集中力を切らさず40分間戦えて、その結果がこの勝ちだったと思っています」

リッチマンヘッドコーチは宇都宮のオフェンスがD.J・ニュービルや比江島慎が中心となる上で、3ポイントシュートを誰に打たせるかが重要だったと明かした。2人に合計で11本の3ポイントシュートを打たれた(3本成功)が、そのほとんどがタフショットであり、さらに言えばフィニッシュまで持っていかせずボールを離させることに成功した。

終盤にニュービルから値千金のスティールをし、オフェンスリバウンドへの参加やルーズボールをことごとく拾った長野誠史は、2人のハンドラーに対するディフェンスについて「戦略どうこうじゃなく、石井さんだったり、すっさん(須田侑太郎)だったり、優大のウイング陣が、しっかりとハードにディフェンスしてくれたおかげだと思います」と語り、チームメートを称賛。さらに、ベテランの存在が特に大きかったと話した。

「過去に4回優勝している経験値を、今のシーホース三河に還元してくれていると思います。ちょっと崩れそうになった時に、すっさんだったり石井さんがその経験値を還元してくれたというか、言葉で『今ここだよ、踏ん張るところをしっかり踏ん張らないと勝てないよ』と常に言っていたので。それで全員で乗り越えることができたのかなと思います」

こうしたベテランの声は確実にチームの背中を押していた。得点頭のダバンテ・ガードナーも「石井と須田のベテランは常に僕たちに『自信を持ってプレーしよう』と話しかけてくれる」と語っている。ちなみに西田は「今日はダバンテが想像以上のディフェンスをしたと思っています」と言い、ガードナーのハードワークを称賛していた。

現在の三河は自身の活躍ではなく、チームメートの活躍や影響力に目を向けている。レギュラーシーズンのプレータイムは決して長くない、石井の台頭がそれを加速させ、最高の雰囲気ができあがりつつある。

石井が「初戦から本当に誰もサボることなくやり続けてくれて、それがどんどんチームの力になっている。チーム一丸となって戦い続けている手応えはあります」と言うように、三河は本当の意味でまとまり、2016年大会以来の頂点を狙う。