片峯聡太

福岡大学附属大濠はウインターカップ5回目の優勝かつ連覇を果たした。真摯にバスケに向き合う3年生がベースを作り、才能のある1、2年生が思う存分に暴れ回るチームが噛み合い、最後は下級生が安定した働きを見せ、3年生が試合ごとにヒーローとなる理想的な勝ち方を見せた。片峯聡太コーチは37歳とまだ若いが、多くのタイトル獲得を勝ち取り、チームが黄金期を迎える中でさらに高い目標を掲げている。その片峯コーチにウインターカップ優勝を振り返り、2026年の抱負を語ってもらった。

「去年よりも疲れましたが、達成感がすごくあった」

──ウインターカップ優勝おめでとうございます。今回は連覇となりました。博多に戻って落ち着いたところで、大会をどう振り返りますか。

去年はチームに力があったことで自信を持って大会に臨み、横綱相撲じゃないけれとどっしりと構えて戦うことができました。それで優勝したので、心境としては「一安心」という感じでした。今年は本当にチャレンジャーで、一戦一戦どうなるか分からないという気持ちで臨んでいたので、がむしゃらに突き進んだ大会でした。だから去年よりも疲れましたが、だからこそ達成感がすごくあった大会でした。

──大会を通してチームが成長し、試合ごとにいろんな良い面が見られました。

そうですね。特に準々決勝の土浦日本大学、準決勝の鳥取城北との試合ではフルコートでバンバン仕掛けるバスケを展開できました。今年のチーム、今年の3年生は受け身に回った時に負けていたので、そうならないために自分たちでスイッチを入れるような戦術をこちらとしても準備できたのが良かったです。

──2年生の本田蕗以選手、1年生の白谷柱誠ジャック選手に注目が集まりましたが、この2人に頼ることなく、「今日のエースは自分だ」という選手がたくさん出ました。

蕗以もジャックも安定した活躍を見せてくれましたが、本当に3年生が試合ごとに、吉岡陽が良い日があったり、勝又絆が良い日があったり、サントス・マノエルハジメが良かったり、栗原咲太郎が値千金の3ポイントシュートを決めたり、本当に試合ごとに光る3年生が出てきたことは私にとってもすごくうれしかったです。

──決勝ではキャプテンの榎木璃旺選手がヒーローになりました。榎木選手は1年の時から片峯コーチが信頼してポイントガードを任せてきた選手です。

まさにその通りで、榎木でダメだったら後悔することはないと腹をくくる、それぐらい彼を信頼していました。それは彼のバスケのパフォーマンスはもちろん、それ以上にやはり人間としての姿を3年間ずっと見てきて、バスケにしっかり向き合うのはもちろん、日頃の生活も誰からも後ろ指をさされることがない、そういう部分を信頼してコートに送り出してきました。その榎木が最後に素晴らしいパフォーマンスを見せて、優勝という形で恩返しをしてくれたのは、もう本当に感謝ですし、彼らに向けては拍手しかありません。

片峯聡太

「たくさんのことを学べている実感はあります」

──ファイナルは東山を相手に、97-71と完勝を収めました。

東山と決勝で当たれたらいいなと思っていました。今年いろんなチームと対戦しましたが、得点力を含めて一番力があると正直思っていました。ただ、前日に福岡第一と対戦しているので、どうしても決勝のパフォーマンスは落ちました。これがもっと元気な状態での対戦であれば、1桁の争いに絶対なっていたと思います。ただ、これがトーナメントの難しさだし、逆に我々が3年連続で決勝に出ていて、メインコートや決勝に慣れていたことで、ああいう展開になりました。本来持っている力にあれほどの差はないと思っています。

──片峯コーチも3年連続のファイナルで、あの舞台に慣れてきた感覚はありますか。

やっぱり全部逆算するんですよ。決勝から逆算してタイムシェアなどいろいろやっていて、今年は初戦(報徳学園)とか2回戦(羽黒)の方が不安はありました。そういった意味では準々決勝のスタートを勝又と吉岡から櫻井照大とサントスに代えて、プレータイムを調整しながら勝ち上がっていったことが、準決勝や決勝での彼らの高いパフォーマンスに繋がりました。まだまだ若輩者ではありますが、素晴らしい経験をさせていただいて、たくさんのことを学べている実感はあります。

──去年の正月には「2025年はパズル」と話していました。しっかりとピースがハマる1年になりましたね。

ハマりましたね。1、2年生という大きなピースの間を3年生が埋めて、さらに自分たちが勝利のピースになることもできて、そういう意味で3年生の働きは素晴らしかったですね。

彼ら自身が優勝すると言っていたので、私も妥協なく彼らに向き合い、時にはぶつかっていきました。それに対して彼らも離れることなく、ついてきてくれました。これは私が勝手に思っているだけかもしれませんが、3年生からの信頼があったなと思います。どんなに厳しいこと、キツいことを言ってもこいつらは離れないと私も思っていました。だから逆に、私も3年生に言ってあげなきゃ後悔すると思って、いつも以上に厳しくキツくやってきた。その答えをウインターカップでちゃんと体現してくれたのは立派でしたね。

片峯聡太

「天皇杯のファイナルラウンドを目標に頑張りたい」

──ファイナルの解説を担当したOBの湧川裕斗選手が「できればまた先生の下でバスケをしたい」と発言していました。これはコーチ冥利に尽きますよね。

それはうれしい限りですよ。大濠に3年間いる間は、やっぱり私は結構うるさく言うので、選手たちはウザそうにもするし、早く卒業して大学に行きたい、プロに行きたいという雰囲気を出すのですが、後々でそう言ってくれるのはうれしいです。

ただ、うれしいけどお互い甘えられないというか、大濠を卒業した彼らは上のカテゴリーで活躍して、トロージャンズの価値を示し、高めていくのが使命です。私は現役の子たちをしっかり鍛えて強い大濠であり続ける、先輩たちが「自分はトロージャンズ出身なんだ」と胸を張って言えるようにするのが仕事です。お互いの場所で大きな花を咲かせようや、と思っています。

──バスケへの向き合い方が素晴らしかった3年生がチームを離れますが、下級生の主力が多く、今年のチームも期待できそうです。どういったチーム作りをしていきますか。

こじんまりしたチームにはしたくないと思っています。今年のようにコツコツ真面目にやるのも大事ですが、それぞれの選手の気質もあります。才能ある選手をしっかり育て上げて、上のカテゴリーと試合をしても勝てるチームにしたいと実は思っていて、天皇杯のファイナルラウンドを目標にして頑張りたいです。

──最後に2026年も大濠を応援する皆さんへのメッセージをお願いします。

2025年シーズンも応援ありがとうございました。皆さんの応援、サポートのおかげで最高の結果を残すことができました。2026年もトロージャンズはさらに魅力的なチームになれるよう一生懸命に努力していきます。引き続き、応援をよろしくお願いします。