ディアンジェロ・ラッセル

デュラント流出を受け苦渋の決断、イグダーラを放出

ケビン・デュラントの慰留に失敗したウォリアーズだが、何も得られずに出ていかれる事態だけは避けられた。

フリーエージェント選手との交渉が解禁された6月30日、ウォリアーズはネッツとのサイン&トレードでディアンジェロ・ラッセルを獲得すると報じられた。『ESPN』によれば、制限付きフリーエージェントになったラッセルは、ネッツと4年1億1700万ドル(約126億円)のマックス契約を締結後ウォリアーズにトレードされる見込みで、トレイビオン・グラハム、シャバズ・ネイピアーもラッセルと共にウォリアーズに移籍。ケビン・デュラントの移籍もサイン&トレードになり、ウォリアーズと4年1億6400万ドル(約180億円)の契約を締結後にトレードされる。

ウォリアーズにとってはデュラントの慰留が最優先で、右足アキレス腱断裂により来シーズン全休の見込みである彼にマックス契約を提示することで合意できると確信していたはず。ところが、デュラントはネッツとの契約を決断。その時には、他の大物フリーエージェント選手の行き先はほぼ決まっていた。デュラントはフリーエージェントとしての移籍も可能だったが、サイン&トレードを了承し、球団に置き土産を残して退団する『最後のアシスト』を決めた。

ラッセルはネッツ残留を希望していたが、カイリー・アービングの加入がまとまったことで、その可能性はなくなった。レイカーズ、ティンバーウルブズが関心を示しているという噂もあったが、移籍先がウォリアーズであれば不満はない。ただ、ラッセルの獲得に伴い、ウォリアーズは苦渋の決断を下すことに。

サラリーキャップに空きを作るため、2019-20シーズンの年俸が1718万ドル(約19億円)のアンドレ・イグダーラをグリズリーズにトレード。さらにイグダーラに加えて、2024年のドラフト1巡目指名権をトレードするという。2015年のNBAファイナルMVPに輝き、ここ4年で3度の優勝に貢献した功労者のトレードは非情な決断だが、致し方がなかった。こうして、結果的にウォリアーズ、ネッツ、グリズリーズの3チーム間トレードのような形で、今回の複雑なサイン&トレードが合意に至った、というわけだ。

ラッセルは、左膝前十字靭帯断裂により来シーズンの大半を欠場する予定のクレイ・トンプソンの代役として起用されるだろう。トンプソンの復帰後は、ステフィン・カリー、トンプソン、ラッセルの同時起用もあり得る。リーグ屈指の得点能力を持つデュラントが退団するものの、昨シーズン平均21.1得点を記録したラッセルの加入は大きい。

ラッセル加入後のケミストリーがどうなるかはやってみなければ分からない。ただ、来シーズンもウォリアーズから目が離せなくなりそうだ。