柳ヶ浦の持ち味を封じ込み、40分間試合を支配し続ける
北陸学院と柳ヶ浦という実力校同士の対戦は、試合開始からの5分で13-2と走った北陸学院がそのままリードを保ち、69-48の快勝を収めた。
立ち上がり、北陸学院のゲームプランは予想以上にハマった。濱屋史篤コーチは柳ヶ浦の外のプレーを許容して、中をしっかり固めることを選択。特に儀間クリスのアウトサイドシュートは『捨てて』インサイドの守備を優先した。儀間は第2クォーターに3本のフィールドゴールを決めているが、レイアップにベースラインジャンパー、ゴール下と得点はすべてインサイド。アウトサイドシュートは決まらなかった。
さらに柳ヶ浦のファデラ ママドゥと北陸学院のファディペ バヨ ジョシュアの留学生対決も注目されたが、ママドゥは北陸学院が固めるインサイドでスペースを見付けられない。ママドゥはペリメーターでのプレーも得意とするが、207cmの高さがあり、しなやかなスキルも持つママドゥにペイントを攻められる方が北陸学院にとっては怖い。
計算通りにアウトサイド中心でプレーするようになったママドゥに対し、北陸学院はジョシュアではなく長谷川蒼や水口朔太郎をマークに付け、ジョシュアはゴール下に残した。まさに注文通りの展開になり、北陸学院ペースで試合は進んだのだが、濱屋コーチは「スコアよりもずっと接戦でした」と、ずっと気を張り詰めていたと言う。
「ママドゥ、儀間、古謝(脩斗)とみんな能力の高い選手ばかり。例えば儀間選手の3ポイントシュートが1本入ったら、こちらはディフェンスシステムを一気に変える必要がありました。向こうはその1本が入るまで我慢していて、その波をつかみ取れなかったのはたまたまでしかないと思っています」
策はハマったが、それを誇るつもりは濱屋コーチにはない。「どこかを捨てないと守れない、柳ヶ浦はそういう相手でした。リスペクトを込めての対策です」
キャプテンの小野蓮太は3ポイントシュート3本成功を含む15得点を記録。彼は戦術よりも試合に臨むメンタリティが勝因だと語る。「練習からやってきたことをすべて出し切る、それだけを考えて試合前のミーティングで気持ちを一つにしていました。最初にジョシュアのダンクが決まって、そこからこちらの流れになりました」
留学生のファウルトラブルも乗り越え、北陸学院は優位をキープし続ける。第3クォーターの最後には神保旺介が時間のないところでハーフコートショットをねじ込み、53-38と突き放した。15点はラスト10分で挽回可能な点差かもしれないが、柳ヶ浦としては何もかも上手くいかない展開で、闘志を断ち切られるような一発となった。
ロースコアゲームで、一つ流れが変わればどうなるか分からない試合ではあったが、北陸学院はスタートダッシュから40分間、自分たちのバスケを遂行した。相手に応じたゲームプランを立て、コート上でそれをきっちり遂行する。北陸学院の強さが示された一戦だった。
