野津洸創

「上を目指すからにはもっと高いレベルが必要」

優勝候補の一角、藤枝明誠は1回戦で県立米子東と対戦。ティップオフから野津洸創の連続シュート成功を皮切りに2分20秒で11-0のランと好スタートを切り、県立米子東がタイムアウトを取るも流れは途切れず、開始5分で19-2とリードを広げて、スタメンが早々にベンチに下がった。

藤枝明誠の先発メンバーは8分前後しか出場せず、その後もベンチメンバーに出場機会を与えながら、常に試合の主導権を握って最終スコア131-36の大勝を収めた。

わずか9分の出場で13得点を挙げた野津は、試合をこう振り返る。「自分たちのバスケを40分間やろうとミーティングで話し、ディフェンスやボックスアウトという自分たちの持ち味がブレないようにと試合に入りました。会場の雰囲気やボールの跳ね具合にアジャストできずにミスも多かったのですが、全員で声を掛け合って一体感を持って戦えました」

余裕の展開でプレータイムをシェアし、多くの時間をベンチで過ごすことになったが、「ウチにはスーパースターがいないので、一体感を持って全員でバスケをするのが大事」と気にしていない。それよりも、「藤枝明誠のバスケはブレないよね、と見ている皆さんに思ってもらえるような、派手じゃなくても地味なことをずっと積み重ねられるチームの姿を見せたいです」と、自分たちの理想を語る。

もちろん、チームのエースとして大事な場面で仕事をする覚悟はあるが、今日はそういう展開にはならなかった。「得点が止まって点が欲しい時間帯が必ず来ると思います。自分を出していくのはそういう時だと思うし、だからと言って自分ばかりでやってはダメなので、上手くバランスを取りながら自分が行くべきタイミングにしっかり行ければと思います」

ただ、宿舎に戻ってからのミーティングでは厳しい指摘もあるはずだ。金本鷹コーチは「131得点でも、ポゼッションの数を考えればもっと取れて良かった。シュートの確率が良かったわけではなく(フィールドゴール成功率57.3%、3ポイントシュート成功率25.0%)、ターンオーバーも多かった(アシスト22に対して16ターンオーバー)です」と課題を挙げ、「上を目指すからにはもっと高いレベルが必要」と気を引き締めた。

夏のインターハイでは初戦敗退を喫していることもあり、「全国大会で一つ勝ててホッとした部分はあります」と野津は言うが、自分たちが全国での1勝で満足するチームでないことは理解している。初戦の大勝から意識を切り替えて、明日以降の戦いに臨む。