岡田大河

最終クォーターに8得点4アシストを挙げる活躍

12月20日、川崎ブレイブサンダースは島根スサノオマジックと対戦。前日の第1戦に勝利し今シーズン初の連勝に期待がかかったが、69-72とあと一歩及ばなかった。

それでも、得点頭のロスコ・アレンが8得点に終わり、第3クォーター残り1分でこの試合最大となる15点のビハインドから巻き返した点は評価できる。勝久ジェフリーヘッドコーチも惜敗の一言では片付けられない、ターニングポイントとなりうる試合だったと語った。

「この試合はチームにとってすごく大事な1試合となりました。成長を続けているプロセスの中で、チームとして上手くいかなかった時に大事にしている『お互いを支え合う』とか『お互いを励ます』というのが前半はできていなかったですが、ハーフタイムで修正しようと。現状を受け入れて、これを乗り越える大事な試合だということをチームで共有しました。後半は勝ちに対して貪欲な姿勢が、最後の4クォーターまで見られたと思います。勝利のために、最後まで戦う姿勢を見せたことは、今後のチームにとってすごく大きなことです」

一方的になりかけた展開を変え、逆転勝利の可能性をもたらしたのは岡田大河だ。岡田は最終クォーター序盤から6連続得点を挙げると、このクォーターだけで8得点4アシストを記録し、ほとんどの得点に絡む大仕事をやってのけた。

「チームが苦しい時に得点を取ることも、自分の仕事だし、一つの武器だと思っています」と言うように、ハンドラーとなり連続でプルアップを決めたことで引力が生まれ、決定的なアシストも連発した。岡田は「チームが苦しい時こそ自分がやるというところを少し表現できた」と語ったが、そこに笑顔はない。それは誰よりも勝利を欲しているからだ。

「追い上げることはできたんですけど、結果負けてしまったので。本当に勝ち切るまで続けることがすべてだと思うし、どんな状況で出されてもチームが常にプラスにいくように、『自分が』チームを引っ張るということをもっと出していきたいと思います」

岡田大河

「チームが勝てていないし、現状に納得できていない」

岡田は15歳でスペインに渡り、マドリッドのプロクラブ、セントロ・マドリーのカンテラ(下部組織)でプレーし、欧州のバスケットボール強国で活動してきた。その経験があるからか、実年齢(21歳)よりも逞しく映る。そして、Bリーグの選手は良い意味で自身の役割に徹し、自らのエゴを捨てるタイプが多いが、岡田はプロとしての矜持を明確に持ち、自らが活躍することでチームを勝たせたいと言う。

「プロの選手は全員あると思うんですけど、いつでも試合に出たいというのは大前提です。見てる方々に毎試合影響を与えたり、自分を応援したいと思ってもらえることも大事だと思います。自分が出た方がいいと思っていないと、自分が目指しているもっと上のレベルには辿り着けません。今は目の前のチャンスに集中して、周りというよりも自分が変わることを信じてやるしかないと思っています」

最終クォーターに活躍した岡田だが、それまでに出場していた約10分間は2得点3ターンオーバーと決して良いパフォーマンスではなかった。だからこそ、「(アピールが)遅かったです」と反省する。「前半からそれをやっていればということは一番正しいです。前半の雰囲気が悪かった時に、自分が変えることもできたと思うので、そういう面でももっとチームに影響を与えられるような選手になりたいと思います」

ここまで平均13.23分の出場時間で4.7得点、3.0アシストを記録しているように、そこまで長くないプレータイムを考えれば、結果を出していると言えるだろう。それでも「もっと試合に絡みたい」と、彼の探求心は留まるところを知らない。

「チームが勝てていないのもあるし、現状に納得できていないです。自分が出た時にチームがプラスになっていればプレータイムも必然的に伸びると思いますし、『自分がいないともう苦しい』と、見ている人に思ってもらえるようになりたいです。今日の終盤に使ってもらえたのは決めきったからだし、もっと貪欲にやっていきたいと思います」

岡田は以前、「バスケットはチームスポーツで、1人の力だけでチームを大きく変えることはできないです。ただ、プロの世界では1人で変えられる状況もあります」と語った。今回の最終クォーターの活躍はそれを体現した形となった。川崎の浮上のカギは岡田が握っているかもしれない。